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ナウシカアの花の色と、〇七年の風の束【新本】

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中尾太一詩集


種の中は種
いつまでたっても種
小さなたつまきがやわらかい殻の中で、芽吹かない明日のつむじの向きを知らせている
ねこ、歌っているね
うたたねしながら仲間はずれのきつねになった夢を見て
種の中に芽吹かない明日の種を植えているね
ああぼくが覚えている歌もそんなだ
無知な鳥が啄ばんだ種の
年輪のまんなかにある血潮
あそこにいるのはとうさんでもかあさんでもない
左巻きのくるくるぱーの左巻きが始まる一日の
くらいくらい洞窟の中
あのおくびょうな生き物が座っている
スポンジ・ボブのあとのブラウン管には後姿しか映らないから
きみがねこをひざに乗っけているのかどうか
だれにもわからない
僕がおぼえている歌もそんなで、だれにも歌えない
自在になった言葉を使ったから、ぼくたちはさびしくなるのかなあ
ふああ、ときみとはなしたぜんぶの話のおわりにもあくびが混じっていくような
そのぬくい吐息の中で
くらいくらい洞窟に朝日がさしたような
でもそれに気付きもしないような
長い夜
これからもずっと、種のままの夜
(「スニフが抱いたねこのうた」より)


著者 中尾太一
発行所 書肆 子午線
発行日 2018年5月10日
A5判 92ページ


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