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ヒトノマ / インカレポエトリ叢書26【新本】
¥990
田村奏天詩集 それでも、さわやかでありたいと思って 薄雪色の指 【作品紹介】 「街と暮れ方」 帰り際の夕立が街を知り尽くしている クリーニング屋の文字がさびれて いくつかの空白を埋めて読む 線路沿いは雑草が茂り 今にでも人類史がまっさらになるような予感 黒ずんだビルに書かれた 「ヘルス」はそれほど健康的でなく おぞましい桃色の看板をしているが 一方で自分が口に運ぼうとしている チューインガムも同じ色だった (それは平穏を保つための 音から意識を背けるための 端的な逃避行) 考えれば胎内ははっきりとした 鮮烈な肉の色をしていたはずで 閉ざされた暗がりに見ていた 熱のための色 人体から発生した我々は その色に寄せられた蛾にならざるを得まい 車窓に流れていく雨後の街を見ながら 強い空腹感を覚えて さらにはこの街がいつからか 鉄の匂いにさらされていることを知っている わたしは誰の信奉者にもならないので 冷静に脳が暮れていく街を解釈する 薄紫を羽織って沈みゆく太陽は 明日の雷を知らない 著者 田村奏天 発行所 七月堂 発行日 2024年4月15日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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花下一睡【新本】
¥2,750
秋山基夫詩集 〈 詩 〉の始原へ 終わらない夢幻劇 【作品紹介】 はぎ 先ごろ思いもかけぬ幸いにて宮城野に参りました あわわあわわと萩を分け露に濡れつつ歩みました 歩めども歩めども萩の花萩の露萩の花萩の露です 薄闇にしゃがむと西行法師の歌が聞こえてきます あはれ いかに 草葉の露のこぼるらむ 秋風立ちぬ宮城野の原 するとほんとうに風が吹いてきましたいちめんに むすうの露がむすうの萩の花からこぼれています あわわあわわと花を分け露に濡れつつ歩みました 月が昇りました銀の世界で馬鹿になってしまった 美しいお方のしゃれこうべがいまも転がっていて 萩の露を舌のない口をあけてのんでいるでしょう むかし郊外に 住んでいた頃 休日の夕方には 妻とよく散歩に出た 道ばたに萩を見つけ これが萩だと教え 顔を近づけ うす紫の小さな花を 暗くなるまで見ていた 何十年も過ぎてしまった病み衰え何もかも失って 白い壁の部屋で白い天井をただぼんやり見ている 著者 秋山基夫 発行所 七月堂 発行日 2024年4月1日 A5判変形 112ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみ猫アクリルブロック
¥3,300
【商品説明】 「きみと猫と、クラムチャウダー」の詩を用いたアクリルブロックです。 *詩は『きみと猫と、クラムチャウダー』収録「Blue Blue Paintings」より抜粋 詩 佐々木蒼馬 制作 七月堂 サイズ 100mm×100mm×20mm 詩集はこちらより https://admin.thebase.com/shop_admin/items/edit/79609828 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみ猫ポスター
¥600
【商品説明】 「きみと猫と、クラムチャウダー」のイラストを用いたポスターです。 【種類】 写真左から「カラー」「モノクロ」 イラストレーター カトウトモカ 制作 七月堂 サイズ 220×310mm 詩集はこちらより https://admin.thebase.com/shop_admin/items/edit/79609828 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみ猫クリアファイル
¥480
【商品説明】 「きみと猫と、クラムチャウダー」のイラストを用いたクリアファイルです。 *詩は『きみと猫と、クラムチャウダー』収録「下書き」より抜粋 【種類】 写真左から「きみ猫」「クラムチャウダー」「詩(SNS風)」「詩(透明)」 イラストレーター カトウトモカ 制作 七月堂 サイズ 220×300mm 詩集はこちらより https://admin.thebase.com/shop_admin/items/edit/79609828 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみ猫キーホルダー3種セット
¥1,650
SOLD OUT
【商品説明】 「きみと猫とクラムチャウダー」のイラストを用いたアクセサリーキーホルダーです。 3種1セットとなっております。 詩集はこちらより https://admin.thebase.com/shop_admin/items/edit/79609828 イラストレーター カトウトモカ 制作 七月堂 サイズ 145×100mm(台紙含めたサイズ) ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみ猫キーホルダー
¥680
【商品説明】 「きみと猫と、クラムチャウダー」のイラストを用いたアクセサリーキーホルダーです。 【種類】 写真左から「きみ」「猫」 イラストレーター カトウトモカ 制作 七月堂 サイズ 70×95mm(台紙を含めたサイズ) 詩集はこちらより https://admin.thebase.com/shop_admin/items/edit/79609828 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ときの旅人【古本】
¥800
【 商品状態 】 帯付 本体:天汚れ少 著者 奈津光平 発行所 七月堂 発行日 2010年3月31日 四六判 90ページ __________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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あざらし / インカレポエトリ叢書25【新本】
¥990
水野小春詩集 わたしはこみあげてくる/ピーナッツを必死に/腹に押し込めている 【作品紹介】 待合室 はねるような音を合図に電光掲示板に数字がともる 大勢が期待に満ちた目で見つめる うち一人が興奮した声をあげ 案内係に連れられていく 次は自分だと皆 数字のついた手のひらを擦り合わせる 椅子の脚が浮く感覚にわたしはとらわれる わたしの腰かけた椅子だけ数センチ 地面から浮いているかもしれなくて 立ち上がることも 言葉を聞きとることもできないでいる 冷房の音が背後で鳴りつづけていて 噛みすたれたガムの冷たい感触を思い出した 女が天井からつり下がり落ち着いて話を連ねていて 頭の痛みがどんどん積み上がっていく 巡回の男の革手袋に突然真後ろから 肩を叩かれ息をのみふり返る 合わさった男の目の奥に線路がつづいていて 履き古された靴は今にも駆け出しそうな身体を 必死で踏みしめていると気がつく 躊躇なくわたしの腕をつかむと 手のひらを確認し乱暴に投げ捨てて 揺れるようにまた歩き出す 服の背中に染み出した 汗の臭いが遠ざかっていく 満員車両 立たされた車内で 家族に連絡を入れる わたしたちの生活に とても速い電車が 走るようになった となりの国まで 毎日働きに出られる とても速い電車に 乗りたい人は多い 自由席車両はごった返して 身うごきもとれない 座席をとり合って トラブルが絶えないので 椅子は全部とりはずされた それでもとても速い電車に 乗りたい人は多い なんとかポケットから スマホをとり出したとき となりの男に肘をぶつけてしまい 男はまだ睨むようにわたしの 画面を覗き込んでくる となりの国との境目で 大きな争いが起こって 線路は通行止め となりのとなりからも さらに遠くからも となりの国に行きたい人が 多すぎるのだ 電車が止まって ただでさえ乗客は いらついている 男を尻目に 遅くなりそう 待たなくてもいいよ と送信する 著者 水野小春 発行所 七月堂 発行日 2024年2月10日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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小山俊一全通信【新本】
¥4,500
【出版社内容紹介】 自らの存在を問い続けた「在野の哲学者」 七月堂50周年記念企画第三弾! 『小山俊一全通信』を読んで、改めて強い感銘を受けたのは、小山が哲学の知識や教養をふんだんに持ちながら、それの解釈学に陥らずに、自己の実存に潜む《生存感覚》のすべてを動員して、考えるということをしているからだ。(解説 北川透) 戦前・戦中は皇国思想にまみれ、戦後は共産党に入党、社会主義思想に翻弄されながら、ある時期、そこを離れ自らの研鑽を重ねていった「在野の哲学者」小山俊一。彼は「隠遁」し、他者を峻拒して、しかしなおコミュニケーションを求めて、少部数の通信を発行し続けた。吉本隆明をして「〈法語のような非法語〉を書く覚者のおもむき」、「「偉小な」純乎とした覚者と呼びたい」と言わしめた。 著者 小山俊一 発行所 七月堂 発行日 2024年1月31日 A5判 582ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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詩については、人は沈黙しなければならない【新本】
¥1,870
【七月堂創業50周年記念発行 第一弾】 このたび、髙塚謙太郎『詩については、人は沈黙しなければならない』を発行いたします。 2020年12月~2021年9月の間にnoteに連載され、また他の場所で発表したものをベースに、書下ろしをふくんで編集しました。 noteに連載する際、ご自身で作ったルールは以下になります。 ①出来るだけ週に1つ以上追加する。 ②ナンバリングするが、連続性、関連性を意識しない。 ③思いつきで書き、書いたものは1週間以上寝かせない。 本編の編集後、さまざまなわけがあってできた時間のなか、栞文を書下ろしていただきました。 真新しいシャツに袖をとおすような朝にかぎって、雨は陰って軒下までぷつぷつとちぎれていく。でも、それで静かさというものがたっぷりと担保されるのなら、私はこなごなに散ったガラス片として、すべてを見とおせるのではないか。ネクタイを巻く。上着はタンスの横でハンガーにかかったままで。 パックのカフェオレをさらに牛乳で割って飲むのが好きだ。チョコマシュマロやシュークリームをそえて晴れ間にテレビをつけて過ごす。神がかっている。自室に戻ると、買った憶えのない本がいくらもあって、残りのメモリーを思うと暗澹たる気分にも逸れていくが、そこを豊かと言って、さて私に書くという意味をつきつけてくる。つきつけてくるが、ただそれだけで、私は午睡へと沈んでいく。 ──『詩については、人は沈黙しなければならない。』栞文より 本文はもちろんのこと、ぜひ栞にも注目していただきたい一冊となりました。 詩を書くということとは。 詩を読むということは。 ことばとは。 詩集『量』でH氏賞を受賞した髙塚謙太郎が、矛盾もひっくるめて真っ向から思考した記録です。 なぜ、私は詩を書くのか。よく言われる100個ほどの、あってもなくても誰も困らない解答(例えば、人々とひとつになりたい、例えば、魂の叫び)は普通に横にどけておく。一つは、間違いなく、人に読んでほしい。この場合、人は私を含む。ただ、それはいわゆる詩でなくても大丈夫だ。なぜ、私は詩を書くのか。必要もないのに、私はさっきも一つ詩を書いた。なぜか。 それは、言葉という最高に複雑で、最高に意味不明で、最速でアップデートされ、最高に可能な、そんなシステムが目の前に広がっているからだ。数式の美しさや楽しさにそれは近いかもしれないけれど、関数がいつまでも無限に作成可能で、その関数によって生じる機能や像も、あらかじめ予測することがなかなかできそうにない。元手がほぼゼロの、この難易度と自由度の高いオープンワールド系ゲームをプレイしない手はない。 ──本文「4.3」より抜粋 著者 髙塚謙太郎 発行所 七月堂 発行日 2023年6月9日 A5判変形 帯・栞付 116ページ 初版限定1000部発行 シリアルナンバー入 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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sound&color【新本】
¥1,320
やすらいはなや やすらいはなや 文字をつかって言葉をつらねるとして、愉楽をもたらすものが果たして何なのか、とかんがえてみますと、それはまちがいなく韻律の仕掛けによっているということがわかります。流麗さもさることながら、摩擦の多い韻律であってもそれは変わりません。むろん黙読をするときに幽かに脳の舌先で転がされる韻律のことです。もちろん言葉ですから、そこに意味と名指される何かは付着するわけですが、意味が愉楽をもたらすわけではありませんので、いうなれば添えものに過ぎないのかもしれません。ただし、言葉がもつ幾重もの意味の層が常に揺れつづけることで色がひろがり、私たちの脳である種のリズムが生まれてくることも確かで、韻律といった場合、単なる音韻上のリズムをさすわけではなさそうです。――髙塚謙太郎 髙塚謙太郎 著 詩集 2016/07/15発行 130×205 A5判変形 並製 第二刷 発行 七月堂 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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新装版 量(サイン本あり)【新本】
¥3,300
《私》は救われる 第70回H氏賞を受賞した『量』。 サイズをA4判からB5判へと変更し、書下ろし詩篇「ハンコック──1984 あるいは球体は《私》は記述している記述──』を収録。 新装版として発行しました。 限りなく無意識にちかい意識のなかで自由に飛躍する詩のことば。 読むほどに広がってゆく髙塚謙太郎の織りなすことばの美しさに、何度でも出会えるだろう。 著者 髙塚謙太郎 装幀 川島雄太郎 発行所 七月堂 発行日 2022年5月25日 B5判 276ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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量(サイン本あり)【新本】 ※送料をご確認ください
¥2,750
髙塚謙太郎詩集 「詩」と「歌」が一体となって届けられる時、その「ことば」には新鮮な美しさが宿る。 髙塚謙太郎3年ぶり5冊目となる新詩集!! 書き下ろし、私家版詩集、ネット上で公開された「〈末の松山〉考」などを収録。 広い紙面のうえ、新しい構図で詩篇の解体と展開を試みた。 限りなく無意識にちかい意識のなかで、自由に飛躍する詩のことば。 読むほどに広がってゆく髙塚謙太郎の織りなすことばの美しさに、何度でも出会えるだろう。 「目次」 七竅 Blue Hour HANNAH 花嫁Ⅰ 〈末の松山〉考 あ文字のいた夏(マイ・サマー・ガール) Memories 花嫁Ⅱ 「背のすらりと、 抜けていく気がしたから。 思えばテレビの明るさ、静かさ、 暗さがこんなに女のひとのほつれて、 立ち姿が聞こえてくる。 水の溜まった視細胞はわたしは深く、 深さは、ひとかきで闇をやぶって、 映りこんでしまった手の白かった。 文面のまま、 春を待って 会いにくるとは。」 ─本文より抜粋 著者 髙塚謙太郎 発行所 七月堂 発行日 2019年7月15日 A4判 253ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊 →「クリックポスト」 *2冊以上 →「ヤマト宅急便」 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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アウフタクト / インカレポエトリ叢書24【新本】
¥990
源川まり子詩集 走れ走れ、張られた薄紙が浮いてきてしまうほど/風をたてる。走れ走れ、 【作品紹介】 なめらかな都市のエコー トラックナンバー不明、暗い部屋、まわるレコードに印さ れた都市の名前、円盤に扇型の影がかたどられて エコー 検査みたい、とぼんやりしたコントラストをみつめる 寝そべった視点、風景、黄ばんだ枠に囲まれた旧式のモニターは湾曲していて、身体だと思って いたのも同じような光のつぶつぶだったのだ、と水を嚥下する プラスチックの接地面と身体と の間にさしこまれるつめたく澄んだゼリー、お腹に赤ちゃんのいるひともあの機械を使うのだと 知ったのは、病院に通わなくなって随分経ってからのことだった モノクロームの絵本、軌跡を 描くストレッチャーはましかくの枕をたたえながら走る 子どもの頃、やわらかくふくらむ腹を見るたび そこに生命が宿っていることを密かに祈った どうやって信じればいいのだろう、画素として広がる腹腔のなかの海 あるいはそこに他者が宿りうることを? 都市は移動する、フィールドレコーディングされた町の音 声は砂埃をあげて、今はなき町の無形の跡を落ちていく針、 記録された音の内部にいる人々は永遠に無名 画面に映っ た靄の正体はずっとわからないままで 砂粒みたいな濃淡 が示していたのは異常のしるしだったのか あるいは日常 にあらわれた砂丘のような遊び場を保っていたのか うつ くしい遊び場を われわれは想い続けることができるのだ ろうか? 引き受けた愚かさが轟音をあげる あの日、目で追いきれなかった都市の名はサイゴンだったと あとで友人が教えてくれた 人々は町をさまよい歩く 簡単ではないやさしさ 想い続けることをやめないで 波、あるいは絶え間なく押し寄せる声 ダイナー 人間という音はインゲンと似ていて わたしはかつて おいしいインゲンを食べたことを想起し 甘さ、あるいは少し土っぽいにおい くぐもった青臭さに焦がれていたのだが どこで出会ったのか もう思い出すことができなかった 咀嚼を続ける頬には 三角形をかたどったホクロがあり 黒目だけを動かして点と点をなぞる 外ではサイレンがけたたましく鳴っていて 誰かに逃げろと合図する轟音が部屋に響くとき われわれの暮らしは反射光として継続される やわらかな彫刻 となりに、横たわっています つかまり立ちをする赤子のようなおぼつかなさで 顔の稜線を震えながらなぞる 眼窩の凹みがぴくりと振動するたびに 素肌の内部にある星座は居心地悪そうに伸縮し 座標を正確になぞることができない、だから ひとつの整った食卓を眺めては 皿のはざま クロスにこぼれた食べかすを 指の腹に押し付けて 拾いあつめておいたのだった 傘をさして歩く 道ゆくひとびとが足を止める橋 もしくは 流れがぐんぐん速まる川 ふかい洪水に抱きすくめられ、わたしは竜になる 今日も机を挟んで座る そうやって対峙しつづける限り ごはんはきっとうまい はずで 背中にすり寄せられた頬の重量が 肩甲骨の隙間を埋めていく きれいな水面の上澄みだけをあなたにあげる スープを飲んで黙ってうなずく 著者 源川まり子 発行所 七月堂 発行日 2024年1月10日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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おじゃんこら【新本】
¥1,500
青山かつ子詩集 【作品より】 きょうだい 五さいと七さいのきょうだいは わんぱくざかり ぶってぶたれて わめくふたりを 母さんは うら戸をあけ つもった雪のなかに すぽっと投げこむ 歯をガチガチならしながら 土間に立つきょうだい 「ほらほら はやく入りな」 母さんは こたつぶとんをまくり上げ 炭火をかきたてる ふたりは 首までこたつにもぐる だまったまま 著者 青山かつ子 発行所 七月堂 発行日 2023年12月2日 A5判 112ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみと猫と、クラムチャウダー【新本】
¥1,650
この初冬、佐々木蒼馬第一詩集『きみと猫と、クラムチャウダー』を発行いたします。 生きることの喜びと 日々を生きるための彩りとは 【作品紹介】 下書き いつも、帰り道なんだよね。 肩にかけたバッグの重み。傾いている背中。首をかしげた街灯の下の路地裏のオンステージ。ゴム底のストレートチップ。カレーの匂いのする夜道のあと、セブンイレブンの中華丼をレンジに入れて待っている。「一日の半分の野菜がとれる」、そんな謳い文句に安心を買いつつ、明日の朝も野菜ジュースをコンビニで買う。ネクタイをほどいてジャケットをハンガーにかけて、二度、ブラシを往復させるとソファで無意味なアニメを二つ見てあたたまった中華丼を口に運ぶ。ふうっと息を吐いて、沸いた風呂のなかでTwitterを流し見る。何か言いたくなって、何も言わなかった書きかけのツイートがもう53件ある。新大久保で買った韓国製の化粧水を肌にすりこませてベッドに倒れ込んで五度、死んだように眠る。口内炎の痛む目覚め。沁みる野菜ジュースが傷を癒す錯覚。ビタミン剤の異様な尿の色。電車に乗ると腹部にまた嫌な感じがして、手をあてながら、駅についてコンビニにかけこむイメージを絶えず描いて流れていく風景をやりすごす。不自然なフォームでかけこんだコンビニで余計に一つ栄養を気遣った一品を買う。職場までの道で深呼吸。同僚が前方に歩いているのを見つけて少しテンポを落として、暗くなったこの道を思う。 「いつも、帰り道なんだよね。」 片手で書きかけのツイートを増やす。 「下書きに保存しますか?」 「―保存」 そうして 「お疲れさまでした」という上司の言葉で週末に入る。 肩にかけたバッグの重み 傾いている背中 首をかしげた街灯の下の路地裏のオンステージ この日々も 下書きならよかった けれど あのとき言えなかった言葉が 何も言わなかったというその何かが この日々をなお、生きのびようとして いつもの帰り道で ぼくにこのようなものを書かせている 「これは、下書きではない。」 そう つぶやきながら 初回出荷につき限定部数となりますが、カトウトモカさんの描いてくださった装画のポストカード付を販売いたします! ポストカードは七月堂へのご注文と、七月堂古書部店頭、直取引のある個人書店さま、大型書店さまにてお求めいただけます。 著者 佐々木蒼馬 装画 カトウトモカ 装幀・組版 川島雄太郎 発行所 七月堂 四六版 仮フランス装 128ページ 発行日 2023年11月26日 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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忘れられるためのメソッド【新本】
¥1,760
小川三郎詩集 死んだあとも、それよりあとも 【作品紹介】 「満天の星空」 だったらもう 満天の星空じゃなくたって かまわないんじゃないか。 いくつか星が あるだけで それでもう いいんじゃないか。 こんなふうに 地球のうえで 一瞬 笑って 泣いたりして やることがまだあるなんて 思わなくたって いいんじゃないか。 未来からの手紙は来ない。 夜はいつも夢を見るから せめて起きている間だけは みんなで笑おう そうしよう なんて 教えたり 教えられたり しなくても。 見上げると 満天の星空。 生まれる前も それより前も あれをずっと 見ていたとして ずっと動かぬ一点だった ただそれだけの 私であるなら 死んだあとも それよりあとも こまることなど ひとつもないので。 著者 小川三郎 発行所 七月堂 発行日 2023年11月16日 A5判 124ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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あかむらさき【新本】
¥1,650
狂おしいたそがれ ほんとうのことが怖くて 小川三郎の作品は一篇一篇が短編映画のように迫ってくる。書下ろしの2点「あかむらさき」と「夕暮れ」が入っているが「夕暮れ」の中で詩人は「夕暮れに絶望し」かかとで石を割ろうとする。石はかかとをかわし、何かを主張するかのように詩人の頭を割る。「森も川も空も雲も」すべてが夕日を眺めている中でこの行為は行われるのだ。石も夕日を見ているというのだが、「石」って誰? 老夫婦の手には 赤黒い手相がこびりついていて その手を川に突っ込んでは ごしごしとこすっている。 私は反対側の岸にいて もう帰ろうとしていたのだが ならばなんとか助けてやろうと 川に足を踏み入れ 老夫婦の方へと歩いていった。 すると案の定というか 川底はぬるぬるしていて 足をとられる。 私が川底に尻もちをつくと 老夫婦は ふたりして顔をこちらに向け はっとした様子をしたが しかし豊作だ豊作だと言い続けながら 手を洗うのをよさなかった。 私の体が 腰からだんだん 薄赤く染まる。 表面だけではなく 身体の内も 髪までも赤く染まる。 (「赤い川」より抜粋) 著者 小川三郎 発行所 七月堂 発行日 2018年10月20日 四六判
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インカレポエトリ9号 鳩【新本】※送料をご確認ください
¥1,000
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第9号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 大崎清夏 笠井裕之 カニエ・ナハ 川口晴美 北川朱実 小池昌代 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2023年10月30日 A5判 434ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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場末にて【新本】
¥1,540
すべてのアウトサイダーへ贈る 七月堂創立50周年記念企画第二弾! このたび、西尾勝彦新詩集『場末にて』を発行いたします。 詩集単体としての発行は、『ふたりはひとり』より二年ぶりのこととなりました。 【著者コメント】 作品「場末にて」を書いたのは2019年のことです。大阪のとある小さな書店で開催された朗読会のために書き下ろしました。記念にするつもりでその店主を描きはじめましたが、次第に自分のこととなり、未来のこととなり、すべてのアウトサイダー、場末を支えるひとたちのための言葉になっていきました。朗読会当日、しずかに読み切ったときの気持ちはまだ覚えています。あの日から、4年。ようやく、詩集『場末にて』を完成させることができました。多くの人々の手に届くことを願っています。 【版元コメント】 この詩集はきっと、誰かにとって、ひと休みさせてくれるような、木洩れ日がきらめく木陰のような、そんな一冊になるのではないかと思いながら制作を進めてまいりました。 こうして形にすることができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。 装画は前回の詩集『ふたりはひとり』につづき小川万莉子さんの描き下ろし作品です。場末にてひかる小さな明るみを表現してくださいました。 この詩集には、「場末」に生きる人たちやそんな人たちがつくる場所がたくさん登場いたします。 ほの暗いなかでしか見えないくらい、けれど確かに存在する、ちいさなやすらぎの灯のような一冊です。 ぜひお手にとってご覧ください。 【作品紹介】 駅 彼は うすい背中のひとなので 職場から 誰よりもはやく 家に帰るみたいだ いつも歩きなので 駅に着くころには 埃っぽい風のなかである ちょっとうつむきかげんの ふうわりとした顔つきで 行きと帰りでは 気持ちに ほとんど変化がないみたいだ 夕暮れの あわい光のなかを 彼は歩いている うすい背中のひとは 駅近くの和菓子屋に 立ちよっている 病弱の妻に 若鮎を買って帰るらしい がま口を開けて 一枚いちまい 小銭をかぞえている 著者 西尾勝彦 装画 小川万莉子 装幀・組版 川島雄太郎 発行所 七月堂 発行日 2023年10月10日 175mm×110mm 132ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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今年も、西尾勝彦さんアイデアと詩、七月堂製作の「のほほん手帖2024」が発売になります! 今年のテーマは「商店街」。 ◉コロッケ 夕暮れ時。 空がオレンジ色に染まる頃。 今日も一日、よくがんばったり、がんばらなかったりしなぁと思いながら夜ごはんに買うコロッケをイメージしました。 帰り道、ついついひとつ食べてしまうことも。 【表紙】デュオストレス 【見返し】里紙 柿 【箔】空押し ◉喫茶店のオムライス お気に入りの喫茶店。 いつもの席で、いつものメニューを。 まぁるいオムライスにケチャップソース。 使いこまれたお皿とスプーンをイメージしました。 【表紙】サガンGA ひまわり 【見返し】ユーライト 【箔】村田金箔 P7-70 明るい赤 ◉銭湯 湯気の向こうには富士山。 ピカピカに光るカランと水しぶき。 下駄箱や、素足に気持ちいい床の木の色。 どんな疲れも、受け止めて流してくれる町のオアシス。そんな昔ながらの銭湯をイメージしました。 【表紙】レザック96オリヒメ デニム 【見返し】里紙 枯葉 【箔】村田金箔 HK 204 透明 この手帖はフリースペースが多いので、日記や絵日記帖、記録帖としてもオススメです。 もちろん日々のスケジュール帖としてもご利用ください。 「のほほん二十四節気」と「今月ののほほん」は毎年西尾さんの書下ろしなのですが、それぞれに、一行詩、ひとこと詩といった趣で、読み物としてもそばに置いていただけるのではないかと思います。 詩的な手帖としてぜひ、いちどお手にとってお試しください。 ◉今月ののほほん(自筆・書き下ろし) より 「ほほえんでいる、春の山たち」2024年3月 「とうめいの傘に、さくらんぼが降る」6月 「入道雲、ざっと夕立、そして虹」7月 「月は雨に隠れ、こころにあらわる」9月 「ゆれるすすきに、わたしはわたし」10月 ◉二十四節気の詩(書き下ろし)より 小寒 獅子舞に、かまれてみたよ 雨水 梅のかおりに、つつまれてみる 啓蟄 春雷が、きこえた気がする 穀雨 藤の花のかおり、目を閉じてよ 芒種 びわの実は、お日さまの味 小暑 もう、冷奴のなかに入ります 立冬 木の葉を拾って、どんぐりに会う サイズ 197×105×10 製 本 上製・天開き・表紙箔押し 内 容 ◉2023年11月~2025年1月 ◉マンスリー(見開き)+フリーページ各月4頁(5㎜幅ドット罫線) ◉月ごとに、西尾さん自筆の「今月ののほほん」(書下ろし) ◉西尾さんのひとこと詩「のほほん二十四節気」(書下ろし) ◉新月と満月 ◉二十四節気と雑節を少々 ◉巻末に白紙のフリーメモ10頁 ◉マンスリーページの土曜日の色を「青色」に変更しました。 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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鋏と三つ編み / インカレポエトリ叢書23【新本】
¥990
川窪亜都詩集 誰かをおににしなくちゃいけないこの世界は 【作品紹介】 プラスティック・ジャングルで生き延びるには かばんの染みから追憶が広がり サンドイッチを食べた午後 レタスのかけらが風に吹き飛ばされて アスファルトのうえを走った 踏切が開くのを待つ あいだに日曜日の退屈を十本まとめて 踏みつけた、毛羽立った皮膚を掴んで持ち上げた 葉脈が透かすいのちが水を飲むのを急かして 喉に通り抜ける液体は 午前二時の海と同じ色をしていた 眼球と都市のあいだにプラスティックの板が 幾重も重ねられて、その板が増えるたびに わたしの足の裏は地面から少しずつ引きはがされていった 手のひらのなかに街灯がともる頃 にきみと待ち合わせがしたかった 今ではシャボン玉のなかに浮かんで 三叉路を探して 散歩をする保育園児たちを眺めて あの手押し車に乗ってみたかったな(わたしは幼稚園児だったから) などと思って、十字路の数を数えて カラーコーンを脳内で適切に配置して 歩道橋の上り下りの合計段数を予想して ドミノ倒しになった自転車を次々と起こしてゆく人の ゆっくりと歩を進める人が横断歩道を渡るのを守る人の 落ちているハンカチを縁石の上に載せる人の 倒れた人に声をかけるのをためらわない人の 背中に生えかけの羽を見た ビルの間に草が伸びていた わたしは東西南北を知らず ラジオの周波数をうまく合わせられず マスクがずれて正しい言葉が見つからない 二十世紀の尻尾に生まれ 二十一世紀に四則演算を訓練し、文字を覚え、美術に触れ、文学を読み、哲学を学び、ノー トパソコンのキーボードを叩き続けて 詩あるいは免れ得ない死に向かって ただ垂直に上昇するけれど 昇る太陽がまぶしいあまりに すぐに地上に突き落とされてしまう じたばたと四肢を揺れ動かして 地団駄を踏む、情けのなさを きみは見なかったことにした コートのポケットにペットボトルをねじ込んで 明け方にコンビニエンスストアまで歩いた 国道をまばらに走る車のうちの一台の 車体の赤が きりきりと追い詰められて、しぶきを上げた 返り血を浴びたわたしのコートもまた もともと赤かったのだった 歩くほどに赤の一部は濃さを増していった ほとんど黒になってもまだ、コンビニエンスストアは遠かった 手近な人をつぎつぎと恋人にするきみの家には コンビニエンスストアがすぐ近くにいくつもあった 便利さに見放されたわたしのコートに付着した血も そろそろぱさぱさに乾いてきたころだ 顔を上げると太陽がすぐ目の前に あって、皮膚がじわりと汗ばんだ ふいに体温計をかざされて電子音が響いた 三十七度を超えていて足止めを食らった 水と血を交互に飲んで、平熱に戻し 歩を進めるけれど コンビニエンスストアはいまだ遠くて 赤いコートは次第に重さを増して ペットボトルの水はあとふた口分しか残っておらず それもすべて道端の草にあげてしまって 途方に暮れて歩き続ける道すがら、背中に羽の生えた人が 新しいペットボトルをそっと手渡してくれた 開封したはじめのひと口を 目が合った野良猫にあげて 脱げた右足のバレエシューズを履きなおした 著者 川窪亜都 発行所 七月堂 発行日 2023年9月30日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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声霊【新本】
¥1,540
橘麻巳子詩集 【作品紹介】 待ちぼうけの空には 孔だ 日が喰われたという話なら あとから知った (ばかね、 崩れ落ちる体系 足元に 齧ったような熱をもって 射られた光の毒かもしれず 隅々にゆきわたって どこからも吐かれなかったらどうしよう 息ができない (ばかね、へんなの でも 息もできない 五感を使いきったところに ふたつめの太陽が昇ってきたという話 ヒトのことばでなくていいので わたしにも教えてください (「孔」より抜粋) 著者 橘麻巳子 発行所 七月堂 発行日 2021年10月30日 A5判 109ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955