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青草と光線【新本】
¥1,650
暁方ミセイ詩集 わたしはしかたなく/人間と恋愛をしていた 新たなる自己を発見し見つめてゆく暁方ミセイ。 夕暮れの光は私たちをゆらゆらとそこに佇ませる。 【あとがきより】 本詩集の詩を書いていた期間、ありとあらゆるものが存在することの価値について考えていました。したがってそれも反映されているかもしれません。だんだん精神の具合が悪くなってくると、まずは四六時中何かの悪い予感にとりつかれ、そのうち積極的に自分は悪しき人間だという証拠を探しはじめます。もっといい人間にならなければ、恥ずかしくない思考と行動をもつ者にならなければ、と思うのですが、一方で、それに激しく反発する自分が、わたしに詩を書かせていました。 【作品紹介】 花畑 あちらの岸にもまた 相似形の地獄が いちめんいちめん展開し 救いのないアラベスクがどこまでも展開し こちらの岸の怒りや悲しみと 相似形の地獄の花畑が どこまでもどこまでも続いているらしい そこを逃げ出す呪文はこう 思考で描くなにもかもは存在しない 陽光 浅い春のまぶしい陽射しと 雪解けの雫のたてる蒸気と 凍った椿のほどける濃い色 風に含まれるもうどうなってもいい冬との境の いまここで血液と酸素を巡らせる感じ そのすべても存在しないが 感じるのもまた本当だ 流れる水の一瞬をとどめられるのは想像だ 自由は その地点でいつでも豊かな風を抱いている 永遠にとまり 永遠にうごき そこに住むことができるなら わたしにひとつの文字が刻まれる 著者 暁方ミセイ 発行所 七月堂 発行日 2023年3月25日 A5判 114ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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砂/鬼籍のひと【新本】
¥2,200
藪下明博詩集 今日が俺の 月命日だという 言葉がぎりぎり抽象性を帯びるのは、記憶の奥底にある何かを封印したいからかもしれない。砂の音、砂浜、砂の生活、土管の街。耳をふさいでもあの砂の音が聞こえる。 ──八木幹夫 藪下明博さんの詩集『砂/鬼籍のひと』には、陸繋砂州(トンボロ)の街の背後に広がる空漠とした心象風景と、風砂の擦過傷を刻むように生きた人びとへの追憶が描かれる。 ──麻生直子 【作品紹介】 「砂の生活」 砂が 沈む とき 子供たちは 溶けて 声を 失う 大人たちは 耳を そばだて 亡くした 声に 紙花(かみばな)を 手向ける 砂は 墓碑のように 冷え切って 落とした 影は 無言のまま 食卓に 添えられる 砂に 溶け切れず 砂に 生き延び 夢を 見た 封印された 傷口を 時折 なぞって 幽かな 生活の気配に 息を 吐(つ)いて 砂に 祈る 「姉 Ⅱ」 風が吹いていた ……かも知れない 大きな 影 ドロップ缶を 握り締め 三本煙突が 隠れている このあと あんでげれ山に 登った こわい こわい ロープウェイに 乗って 姉の カーディガン 赤い スカート しっかりと 離れないように ……と きつく 指先を握る 旅立つ前に 叶わなかった 姉との 約束が ……隠れている 小さな ドロップ缶の中に 著者 藪下明博 発行所 七月堂 発行日 2023年2月12日 A5判 124ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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鳥類学フィールド・ノート【新本】
¥1,980
生き物たちの安全で安心な楽園はどこだ みーんなこの地球の仲間たち おはようございます 小笠原鳥類の入門書ともいえる一冊。 編集や装丁は、詩人の榎本櫻湖によるものです。 現代詩手帖やフリーペーパー、ブログなどに発表された詩に書き下ろしの作品を収録。 よいことがあると、いい。あの、ええ、 それが、とても、いい。 とても、穏やかに、うれしい、ことが、いい。 あの川に、いろいろな、種類の歌が 魚が(魚の図鑑は歌の図鑑だ)楽譜が…… 泳いでいて、魚の背中が見える。 魚は透明なので、内臓も見えるだろう健康な。 健康な健康だ、 魚のウロコがたくさんあって、それらの 輪郭の線が黒くなって、見える。 黒い絵、というものが、あった。魚を描いたんだろう 魚の図鑑が、画集で、あって 版画、だった。版画の群れ。 ─中略─ 魚の、とても、光る、部分である。版画で描くなら 金色を少しだけ使うだろう。よいことが 光っているのが、よい。いい。 よいことがあると、いい。 おそろしい未来が来ないのがよい。魚の 版画を集めた本を、ギギギギギーと開くと、 「明るい未来もある」と、書いてあった。 どうなんだろうなあ、よいことが、 あれば、とても、よい。いい。歌うだろう それから魚を描くだろう、魚の ウロコたちの線をたくさん描くだろう。 背中にウロコがたくさん描かれるだろう。背中を 濃い灰色で塗った。水彩で描いた。 とてもよいことになればよい。よいことが、 あれば、いい。おはようございます (「魚の歌」より抜粋) 著者 小笠原鳥類 発行所 七月堂 発行日 2018年6月10日 四六判変形 113ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ラベンダー狩り【新本】
¥1,650
大西久代詩集 小宇宙へと紛れ込む 今日という一日が熱を帯びる 人は子どもの頃、ころがっている石に惹かれ、箪笥の片隅に集めてしまう。 この小石は、それぞれに小宇宙へとつながっている。 大西民代が放つ一行は、どの一行もそうやって集められた小石たちである。 この詩集を前にした時、私たちは、日常に差し出された小宇宙の前に立っているのだ。 【作品紹介】 ハナウマ湾へ 誰も戻ってはこない 美しい青の海原を越えて ふり返ることなくあの青へ溶けていった ハナウマの白砂に濡れた足が しきりに太古から譲渡されるものに 触ろうとする 翡翠色に広がる海の誘惑 二月の冷たさにも私たちをいざなう シュノーケルが見通す魚は零れつづける 色から色へ からだからからだへ 岩礁をよぎり水のくびきをものともせず かつて火柱を噴き上げ 天に咆哮した山々 弓状の湾を囲んで鎮まっている 岩の上を移ってゆく人影 海辺で見あげる緩慢な錯覚 僅かずつ地球の切っ先が引き延ばされる 珊瑚の海へ 尾鰭をもつわたしが追ってゆく 身をくねらせ境界を通りこす 二億年前のひそやかに息づくもの との出会い 深夜の客 そのとき遙かな空から海峡を越え、湖に降り立つ鼓翼を耳にした。くらい肩にはずっしりと過去がこびりついている。手が、声が、記憶を揺さぶって、追われるようにこの町に降り立った。 毒矢をわが身に放ち、才を貪った男は女を捨てた。見えないものに、ひとり挑んでいった男の一途さを、それでも女は見ていた。水の面をきらめかせ、陽はうつろな男の内面をびりびりときり裂いた。ガラスが砕ける音がして、 夜ごとの夢は宙づり、すでによそ者である男は、愚か者のふり、軟弱なふり、暮れゆく窓に向かって、顔をつけ替えなければならない。なだれる方へと体はなびくから、傷んだ手を浸せば、男に雁が見えてくる。粉雪舞う湖から「コアーン、コアーン」と鳴き声が響けば、言いようのない寂寥がわきおこる。 うつむいた女、そばにいながら寒い背ばかりを抱く。雁は記憶の夜をつつきにくる。 上向いて月の雫を飲みこんだ人、鳥となってさすらっている。約束された時の繋がりを曳きながら、地上の破れ目はなお淵である 著者 大西久代 発行所 七月堂 発行日 2022年10月10日 四六判 108ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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霊園東通り南【新本】
¥1,650
鈴木康太第一詩集 光が、目的もなく 落ちてくる 冷静な言葉の佇まいをパズルのようにはめ込んでゆくと、鈴木康太の切ない景色が浮かびあがってくる。 【作品紹介】 「裸のままで」より 光なんてなくても 愛と目は 同じ発音 黄色と緑は 落ちる手前に告白しあい 海沿いのもののけに なると思うよ 裏声ちょうだい くちびるの灰で 石を動かして しげみをこだまして 栽培手帖に 燃えるようなあとがきをそえて 夜はすぐに 図鑑どおりになる 畳におちる隕石で あなたのにおいがついた パジャマが焦げる けど、焦げても着ないと風邪をひく白亜紀 うなだれる背中の筋 影はつま先の上にある 種をえらぶ 変身の 変身は最初の一行で終わる あごは鍵に噛みついたまま いずれ消える砂糖で底が白い あなたの声がきれいなので 欠けながら 続きまして 約数です 約数の約です へその緒を結びなおす うなじは頭と夢のように運ばれる 風が吹くと丸を作れない 愛の中で 小指の爪がはがれる 指紋は化石になりたい ぷつぷつと 髪をおとしても 吸われるのを待っている 暮らしの幽霊 溺れれば あなたが食べ終わった小骨の山 夏の窓についた 飛行機 音はしないで堅い殻の体のよう くうふくですか わたしは時々彼を起こして 手をまん中に持っていく 著者 鈴木康太 発行所 七月堂 発行日 2022年10月1日 四六判 82ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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道草【新本】
¥1,650
橘しのぶ詩集 おとうとよ/つばさがあっても/おまえには空がないのだよ ときどき現れる非現実的な出来事と、 空想と現実のあわいが淡く混ざりあう幼少の記憶とが、 精妙な人間関係図のなかで、ぽつぽつと点滅する。 その光を手掛かりに読み手は、文字をたどり、ことばをたどる (望月遊馬) 【作品紹介】 告白 十かぞえるあいだに泣きやんだら、この耳をあげると、あなたは 言った。見たところ、あたりまえの耳である。掌に載せると、脈打 ち始めた。千年前の貝殻みたいに不愛想だ。春の雪の匂いがする。 ふとしたすきまにしまっておいて、なんて、言われたって。耳なんて。 そんなつもりじゃなかったのに。あなたの歩幅を気にしながら、少 し後ろをついてゆく。 微熱の続く昼下がりには、かくれんぼの声がこだまする。三半規 管に根を張った樹木の幹に顔を伏せる空蝉みたいな娘は、わたし。 「もういいかい」 「まあだだよ」 しなやかな枝は鳥族の棲家で、おもいおもいに歌っていた。しず かにあつくゆれながら、かかとからあかく染まってとけていった、 ろうそくみたいな娘は、わたし。ことばで人を殺すことはできるが、 ことばでは人を愛せない。視姦されたところで孕まないように。 発語された愛はシロフォンのしらべにかわる。 すみやかに影が去っても、枝はまだゆれつづけている。ふとした すきまなんて、そんじょそこらにあるもんじゃない。帰りそこねた 一羽のわたしが、あなたの耳からこぼれ落ちる。 啓蟄 ももいろの侏儒がいくたりも 空からつるされたロープをのぼってゆく 区役所の裏の公園には 重たいくらい花粉が充満していた なにか、を待ち焦がれているかのように ベンチにこしかけぽかんと空を見上げた 婚姻届けを提出した帰りだった 出産届けを提出した帰りもだった 離婚届けを提出した帰り ベンチにこしかけ空を見上げた 信じてさえいれば 待つことはかけらほども怖くはないが ももいろの侏儒を見たのは 実はそれが初めてだった 最後まで見届けたかったのに ロープは手際よく巻き上げられ 空の駅を今、縄電車が出発するところである 私も乗客の一人になって身をのりだして なにか、に向かって手を振っている 満員御礼の垂れ幕が空に つるんとかかっている 著者 橘しのぶ 栞文 望月遊馬 発行所 七月堂 発行日 2022年11月10日 四六判 96ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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アンドレ・バザンの明るい窓【新本】
¥1,650
牧野楠葉第一詩集 お行き、未亡人となったわたしの心臓 線路が赤黒く染めあがってきた 小説家でもある牧野楠葉の第一詩集。 色彩溢れる言葉が投影される紙上はスクリーンと化す。 【作品紹介】 あるひとの信仰 <わたしたちはここで座っていたのですね> と彼女は笑い、歯茎を見せたが ピクニックのレジャーシートが 黄色い風が吹いて きみは倒れ 消えてしまった 優雅な声のためには ある程度の犠牲を払わなければならない 悲しみの声のためには あらゆる夜の二十二時半を設定しなければならない 痣のあるきみはそれだけで有頂天になる 毎日 歯のような手が いまでは人々があくびをしたかのように…… ふたつの話 花園が崩壊する 大理石のある庭園が地響きによってカーブする きみはそれを 泡のようだと言って馬鹿にするが わたしは それを聞いて 永遠だと思う いつまでも続けばいい すべてのものが嘲笑するとき、 海辺が天に上がる 日の翳り ジョンのレコードプレイヤー が 冷え冷えと夏のコテージで やられてしまった …… そうなると することはひとつで 眼鏡を鳴らす 鳩時計が鳴る 再び日は長く 轟々と風がなり まるでホラー映画の パニックのような ノーランのステレオが 冷え冷えと夏のコテージで やられてしまった…… 彼らの鼻腔から荒い息が漏れる そう わたしは(あなたは) 黒人たちの ダンスと踊りの狂乱に 巻き込まれる運命にしかないのだ セクシー ミュージック オン ザ ワールド の渦に ラファエルのキーボード が 冷え冷えと夏のコテージで やられてしまった …… わたしは(あなたは) 肌が黄色く だからこそ 彼らから 黄金を せしめることが できるのだ ヒトミ、 きみのドレスに シャンパン が こぼれて いるよ。 歌えない! とわたしが(あなたが) 叫ぶと 他の服がやってきて すぐさま 濡れた服は 取り替えられた ルーカスのアップルウォッチが 冷え冷えと夏のコテージで やられてしまった…… レズニコフが かつてわたしの友であった あなたはもうどこにもいない 今は踊り続けているだけ ヒトミ、 きみの友達が来たよ。 呼んでないわ 来たんだ、それでも それは驚くべきことに 腹違いの妹で わたしは半裸のまま 彼女を歓待した セクシー ミュージック オン ザ ワールド の渦 著者 牧野楠葉 発行所 七月堂 発行日 2022年10月31日 四六判 76ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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異和と痕跡【新本】
¥2,200
著者の歩んできた人生の生きざまを素直に読める珠玉の一冊。 生き残った者たちと、やがて死ぬものたちが、すでに死んだ者たちと、まだ生まれていない者たちが、幻影のように交錯してゆく。 大岡信、碇昭一郎、天知茂、金太中、工藤信彦、澤田展人、寺山修司、成瀬巳喜男、原民喜、三崎亜記、森崎東、アンナ・カヴァン、テレンス・マリック、栗原康、佐々木譲、オスカー・ワイルド、チャン・イーモウ、フォン・シャオガン、服部良一等々他多数登場。 【目次】 アレクサンドリアの断崖……4 異和を生きる感覚――三崎亜記……10 大岡信の『昭和詩史』をめぐって……16 加害/被害、記憶/現在……20 共犯幻想あるいは逆さの鱗……26 〈技術〉を超える精神――テレンス・マリック……34 草の根ファッシズム……40 工藤信彦――国語的〈知〉の軌跡……58 原=成瀬的なものの刻印――『お國と五平』……62 小林政広『愛の予感』……68 この世界の、未来――『エクス・マキナ』……74 澤田展人『人生の成就』……82 詩人の孤独・存在の孤独――金太中……88 社会の縮図を描出――佐々木譲『沈黙法廷』……94 自由=記憶の欲動――栗原康……98 銃後の成瀬巳喜男……106 身体と機械――『オートマタ』……112 成立と流通……118 戦後現代詩史の再検討……132 体制とシンクロした日本人像……136 魂の問題――代島治彦『三里塚のイカロス』……142 知性と無垢――オスカー・ワイルド……148 血は立ったまま眠る……154 地平線の向こう――『スラップ・ハッピー・ハンフリー』……160 チャン・イーモウ『SHADOW影武者』……164 「党宣言」のアクティビティ――追悼・森崎東……170 「月の砂漠」を歌う天知茂……176 読書は再構築する……182 トランペット・オンリー・ジャズライフ――碇昭一郎……188 ノスタルジーは捨てた――フォン・シャオガン『芳華Youth』……200 服部良一と上海ジャズ……206 原民喜の「鎮魂歌」……212 パロディかパクリか……216 ハンガリー1956……222 転向させる技術と非転向でいるための技術……228 富士山登頂のゾンビたち……234 普遍と具体への意志――竹田賢一……240 亡命の果てへ……248 未成の夢――もうひとつのジャズ・シーン……254 冥府をめぐるキトゥンの物語……268 夕暮れの心と身体――廣木隆一『夕方のおともだち』……274 遊猟する骨と肉……280 雪のなかの〈帰還〉――ハンス・エリッヒ・ノサック……286 歓ばしきものの奪回――エミール・クストリッツァ……298 「隷従」への自発的な意志をめぐって……304 レッド・パージの闇の奥……310 私は氷の世界に生まれ、死ぬ――アンナ・カヴァン……316 著者 笠井嗣夫 発行所 七月堂 発行日 2022年12月1日 B6判 328ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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交差点の秘密【新本】
¥1,650
武井深彦詩集 交差点の谷が/静止し/発火する 詩人は日々の交差点に佇んでいる。 そのまなざしは、生と死の光景をすくいとる。 【作品紹介】 トンネル 庚申塔から集落へ折れ トラス橋を渡ると 桜だけの小学校 ツタとシダが入り口を取り巻いているから 人を たばかるものだと トンネルを掘った男の孫が 入学式で吹聴する 媼が振り返るから 人が迷い込み 明かりがないから 死があり いつも夜だから 恒星があり 冷たくて丁寧な苔も生しているし 水が漏れ出るから 清純と 混乱とが ホルンとなった 外耳に反響する 迷い込んだ私は 歩くだけでもう 騙されている 階段 石の手摺をたぐり 深海の闇を踏む 赤くくすむ大王烏賊が 踊り場に潜む 繰り返す右と左の足 曲げること伸ばすこと 骨髄から 重力を抜くコンプレッサ 細胞から抜ける 土の記憶 長く下るまに 冷徹に被圧された 水 酸素はとうに抜け上がり 脳から抜けていく 光 頭上に満ちる 海月の光 ここは深海 香らない夜の林で 非常灯色した 大王烏賊が 非常口色した 海月を襲う 深海の闇を踏む 夜空へ 踏み出す右つま先 膝がカクリと折れる 著者 武井深彦 発行所 七月堂 発行日 2022年11月25日 A5判変形 104ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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4日と7時間【新本】
¥1,100
Yuen詩集 ベンジャミンは完成した世界に興味がない。 ある日を境に別の世界に住み始めたベンジャミンとそれを見守るK。 ナギとママの最後の日。 そして「バニシングツイン」が語られ……。 三つの話を読み終えたとき、すべてのつながりが明らかになる。 生命の神秘を体感させてくれる「詩物語」。 捕らえられた人魚が 水槽の中で 生きていた時間 …4日と7時間 著者 Yuen 発行所 七月堂 発行日 2022年12月20日 B6判変形 98ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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雨が生む色彩【新本】
¥1,430
篠井雄一朗詩集 一つの作品が月曜日を震撼させる 日常の表と裏、季節の表と裏、時の表と裏…… そのすべてに通底する孤独。 私たちが何気なく通り過ぎてゆく光景の中に篠井雄一朗の宇宙が広がってゆく。 【作品紹介】 残暑お見舞い テーブルの上にこぼしたミルクに 溺れそうなくらい縮んだ 僕は 十円硬貨ほどの大きさしかなく 昼に食べた冷や麦の器が 宇宙船のようにそびえる横を 草の匂いを含んだ風がすり抜けた めんつゆの残った器の陰に身を潜めるも 落ちていたネギのひと欠片に足をとられ 尾てい骨から転んだ先はミルクの海 痛みは脳までひろがって おまけに背中はびしょ濡れで 誰かが名前を呼んでいた (知るもんか) それよりこれは現実か まばたきを繰り返していると 悪いことにますます小さくなりつつあり 仰向けの状態で起き上がれず 誰かが名前を呼んでいた 片方の翼がぼろぼろに壊れた 天使が宙に微笑む姿 痩せこけた体が水分を欲して 眠りから覚める合図をうながす 耳は確かに聞いていた 天使の声を、羽根音を いたって僕は元気をよそおい バイクにまたがる 揺籃 目を開けていられないほどの まぶしい光 まぶしい光に包まれたい 包まれろ、 霧がかかって良く見えない 老眼だから良く見えない 言い訳を考えてる顔は 悪だくみに満ちている 月曜日の闇がついてくる 影のように 拝む姿は様になっているも 中身がともなわない 滑走路はいつだって順調さ 動き出し勢いに乗るまでの問題 裸足で駆けていって 引かれた線など気にしないで行って 方程式が解けない そもそも方程式など存在しないと割り切って 裸足で駆けていって 引かれた線など気にしないで行って 金曜日になってようやく闇が薄れた気がする 内側で波打つ土用波 足りないものをかき集める 生活のかたちを葬って 見知らぬ宇宙が指から滑り落ちる 見知らぬ宇宙が指から滑り落ちる 著者 篠井雄一朗 発行所 七月堂 発行日 2022年12月10日 四六判 112ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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雨の日のあたたかい音楽【新本】
¥1,300
言語芸術への挑戦 次々と変奏されてゆく言葉たちは 意味を離れ、音の粒として 私たちに降り注ぐ。 【作品紹介】 複製の複製による複製の擁護 〈夢〉という字を一切使わないとルールを決めてみたが、無理だった。それは、 〈足の裏は、死者がみせる最後の表情である〉というもっともらしい言い回しを読んで、ちがうと思った。なぜなら、 ピポー叢書の夢より抜粋 妻つマづく あれたうみあふれたかわありふれたいけあかるいいりえあれはあわれなみかづきこあちらは沸騰するカルデラこ プラダをしおかぜにあてたくないといいながらすなはまでつまつまづくかいのかけらがてのひらをらせんに裂く なぎのなぎさにきなさいちいさなさなぎになるとききなさいシンケルの流星雨そそぐよるしょくそうからはなれ 著者 金澤一志 発行所 七月堂 発行日 2022年11月22日 A5判変形 64ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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EXPLOSION / インカレポエトリ叢書17【新本】
¥990
真夏あむ詩集 余命とは、この夢が覚めるまでの数年のこと。//きみの声で起こして。 【作品紹介】 夕方アンチ リストカットしたところから、ぷつぷつと天使が溢れて飛んでいく。 うさぎのしっぽみたいなつまさき。 桃色につやめくきみのゆびさき。 不特定多数に不安定ないいねをもらってないと心がすかすかでおかしいや、ぼくを救える人間がこの世にぼくしかいないことなんて、中学校を卒業するより前にわかっていたことなのに。 簡単な言語で挨拶をして、最初の掴みはこれでOK、あとは脳をじゃぶじゃぶと洗うだけ。 ぼくの脳汁に漬けて染めるから、逃げ出さないか見張っておいてね。 ひとつのふきだしのなかで何についての会話かわかんなくなってきたが2回くらいあって、彼はこれを転調と呼んでいて、だからすきだったな。 ぼくの目の奥みたいな色をペンキにして漬けたみたいな色のマスカラを睫毛にべちゃべちゃと塗りたくって、焦げかけのトーストをかじる早朝。 夜が朝になる瞬間がすきで、夜更かしがやめられない。 カーテンの隙間から見える太陽光がやわらかいのは、きっと朝日には天使が混じっているからだって本気で思っている。死にたくならない。 夕方は死にたくなっちゃっていけないね。 オレンジは眠くなるし、すっぱすぎる。 甘くてとろとろしたものしか愛せないから、夜明けの空港がすき、朝方のカーテンの隙間から手を振る光がすき、あの子の抜けた歯の隙間から見える宇宙の堕とし穴がすき。 春はあったかいから、頭がおかしくなった人が増えるらしい。ぼくもその一員かもと言って笑っても、笑わないで、それでも否定も肯定もしないでね。 きみに都合のいい電波数を毎秒選んで、毎秒違うチャンネル見せて。きみは朝方のテレビ。雪解けみたいな、透明に侵食された窓。産後1秒の太陽を捕まえろ、生活リズムの鍵を握ってしまう強めの魂で、弱っちい自律神経なんかをぶっ潰したい。 著者 真夏あむ 発行所 七月堂 発行日 2022年11月25日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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あのとき冬の子どもたち【新本】
¥1,320
峯澤典子、第三詩集。 ぬくもりはじめた 祈りのかたちに 冬が 訪れる この〈旅〉は、通り過ぎていく景色の印象を残しながらも、別の空間、時間を移動しているようだ。ふとした気配が記憶を呼び覚ますように、うす暗い空の下、それでも光を求めて彷徨う。 マッチを擦っても 新年の雪みちには犬の影もない ひと足ごとに 夜の音が消えてゆく 冷気を炎と感じられるほど ひとを憎むことも 許すことも できなかった せめて てのひらで雪を受ければ いつまでも溶けない冬が ふたたび訪れることはない病室へ流れていった それを流星と呼んでいらい わたしの願いはどこにも届かない それでも星は 清潔な包帯のように流れつづけた(「流星」) 第二詩集『ひかりの途上で』(七月堂)で、第64回H氏賞を受賞した峯澤典子さんの最新詩集です。 第一詩集 H氏賞受賞作『ひかりの途上で』https://shichigatsud.buyshop.jp/items/6048424 峯澤典子 2017/02/01発行 発行所 七月堂 四六版 並製カバー付 カバー・表紙デザイン:吉岡寿子 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ひかりの途上で【新本】
¥1,320
第64回H氏賞受賞 詩とは美しい言葉 静かな映画の場面がゆっくりと移り変わるような感覚。 思い浮かぶ情景は人それぞれかもしれないが、この独特の淡い美しさを味わう感覚は共通ではないだろうか。過去でも未来でもなく、現在とも少し違う場所から俯瞰して見たような世界。そこで描かれるのは鎮魂の時代から新しい命の時代へとシフトしつつある私たちの姿だ。 何度いのちが絶たれても ひとの手はなお 花びらを模して どうしても やさしく生まれようとする (「途上」より) 第二詩集『あのとき冬の子どもたち』https://shichigatsud.buyshop.jp/items/5876871 峯澤典子 著 詩集 2013/08/06 四六判 並製 第4刷 発行 七月堂 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ルーネベリと雪(サイン本あり)【新本】
¥1,731
タケイ・リエ第三詩集 あっ、晴れた。 手さぐりでたよりない闇のなかをすすんでいくと、 見慣れた風景がまあたらしくうまれかわっている。 なつかしい景色がまばゆい光につつまれて、 はだかの街路樹もかがやいている。 (帯文より) 図鑑を眺める。眠るまえのせかいはやさしい。だから、気がとおくなるほどたくさんのいきものが食べて食べられる世界を眺める。まよなかの、まんてんの星の下に無数の国。赤いろ。青いろ。緑いろ。夥しいかずの屋根の下で。多様なにんげんの図鑑もひろがる。 (中略) うまれてくるひとよりもしんでゆくひとのほうが多くなってきて、ようやくさしせまったと感じるなんて身がすくむような思いがする。わたしたちはいったいだれから、救われればいいのだろう? いまこのことについてだれかとはなしあいたいのに、だれとはなしあったらいいのだろう。あなたの考えている本当のことがわからない。悩んでいたらみえない動物が近づいてきて、はなしが通じる言語を習えって言うの。それが愛情だろうって言うの。おかしいよね。いまからでもまだ遅くないんだって。本当に、覚えられるのかな。せかいはとても広くてプールみたいになってしまった。大きな水溜まり。あるいは、砂漠のようなもの。だけど、はだし、はだかでも、大丈夫なんだって。本当かな。本当なら、服を着ているのがじゃまになるかもしれないね。あなた、いっしょにぬいでくれる? あなたがいっしょならわたしだってもう、こわくないんだよ。 (「ミーアキャットの子は年上の兄弟からサソリの狩りを学ぶ」より抜粋) タケイ・リエ 岡山県生まれ 詩誌「どぅるかまら」「ウルトラ」「Aa」同人 詩集『コンパス』(ブロス) 詩集『まひるにおよぐふたつの背骨』(思潮社) 詩集 著者 タケイ・リエ 装幀:伊勢功治 発行所 七月堂 発行日 2018年9月30日 A5判変形 92ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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百年の雪【新本】
¥1,320
白神つや詩集 【作品紹介】 開かない窓 割れている窓の先には道がない ぼくは旋律も雨も緑の豊かさも 知らないけれど、 殆どの、ほとんどだらけを知らないけれど 遠い朝の中で人が家の 口内を音もなく動き回っているので、 それについて尋ねようと 振り返ると窓は割れていない このような窓から視界を撫でまわすとき、 向かいの家々はぜんぶ窓が閉まっている じっと身構えていて、扉なんてないみたいに 黙ったまま、なにか祈ったまま、 まるでそれがとてもおかしくないないように 閉ざされて季節の合間にずっといる ぜんぶ空家かもしれないけれど、 こなごなに燃やして真っ二つに してやりたい ぽつぽつと雨が降ってくる しかたがなく家の中に入っていって、 泣いている ずっと泣いている 雨が降っているのに、 家の中でぼくはずっとないている 著者 白神つや 装画 かんべあやこ 発行所 七月堂 発行日 2021年11月25日 四六判 76ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ゆきふるよる【新本】
¥1,650
森 雪拾詩集 【作品紹介】 あなたにことばを伝えたい 少年は思いだした花の名を口に 乾いた足跡を残して歩いた街 憎みきれなかった夜の波音は高まり いつか許されることを待ち望んだ (「街の海」より抜粋) 著者 森 雪拾 発行所 七月堂 発行日 2021年8月30日 四六判 77ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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アーベントイアー【新本】
¥1,650
木葉揺詩集 行け、行っちゃえ、どこまでも―― 皆と同じ走り方ができなくても。一人ぼっちで。宙をつかんで。 うまくいかないことだらけの現実に言葉で風穴をあける第一詩集。 (川口晴美) 【作品紹介】 部屋 家に帰ると部屋がなかった 手洗いとうがいをすませて 冷蔵庫の中をのぞく テーブルの下 ベランダに出てみる 「部屋」 返事がない 手がリモコンをさがす ソファに座ってみる 部屋はいた 画面の中 キレイになっていた 部屋の中に笑顔の人が入る 子供たちが上がり込む あちこちを愛でて 走り回る 「畳の部屋だったのか」 包容力でいっぱい 卓袱台の上を 座布団が飛び交う ソファに身を沈める そして丸くなる 声を聞いている 「なんか落ち着く」 リモコンを抱えて目を閉じた *** 呼ばれた気がして飛び起きた 画面が変わっていた 家を出る 探しに行く あれはどこなのか 部屋の写った紙を あちこちに貼ってゆく 「誰か―」 部屋、知りませんか 部屋、知りませんか 出会う人に尋ねて回る 皆、目を合わさず 顔を隠すよう手を振る 私だけが知らない 会社にはない デパートにあるのかもしれない エレベーターで屋上に出る 街があった 部屋はないけど街はあるんだ 息を切らし汗を拭う 「部屋――!」 街に向かって叫んでみた 大きく深呼吸して 家に帰ることにした 【著者プロフィール】 木葉 揺(このは ゆり) 兵庫県出身。 2006、07年「詩学」に投稿 2009、10年「現代詩手帖」に投稿 参加同人誌 「repure(ルピュール)」 過去、参加した同人誌 「ねこま」「酒乱」「反射熱」 著者 木葉揺 発行所 七月堂 発行日 2021年10月15日 四六判 100ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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みんな幸せになればいいのに【新本】
¥2,200
小川まゆみ詩集 【作品紹介】 贈与 静止していない観覧車 鉄骨の隙間からまばゆい光景が届く 夕日に包まれ 光輝く建造物 流線型の美しさを再認識させてくれる 渚における砂と海水の攻防 自然の移ろいに身を任す 広い隙のない部屋 モノリスはどこだろう 厳選された 家具 ファブリック 絵画 窓からの眺望 さりげない空間 私は溶け込んで 深くソファーに腰掛け一体化する 突如落ちる 薬が効いている 薬が効いている ミニマルな言葉が 思考の螺旋を重い足取りでもって連なり 不協和音が奏でられる 薬よ効いておくれ これからも幾千もの美しさに抱擁されたい 薬を忘れてしまうほどの光景を この私に贈与して欲しい 著者 小川まゆみ 発行所 七月堂 発行日 2022年4月18日 A5判変形 160ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ7号 羊【新本】※送料をご確認ください
¥1,000
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第7号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 大崎清夏 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 小池昌代 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2022年10月31日 A5判 488ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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のほほん手帖2023【新品】
¥1,980
今年も、西尾勝彦さんアイデアと詩、七月堂製作の「のほほん手帖2023」が発売になります! 今年のテーマは「風」。 ★東風(こち) 春に東から吹く風。 梅の花と、まだ少し寒い頃に感じる春の気配。 波の飛沫などをイメージしました。 表紙 里紙 もみじ 見返し タント N-5 箔押し パール ★桜まじ 桜の頃に吹く春の風 内側も上品なピンク色の紙を使用し、華やかな桜の季節をイメージしました。 表紙 スプリンクル SNCピーチ 見返し NTラシャ あざみ 箔押し ピンク ★色なき風 秋に吹く風。 色なきとは、華やかさや艶のないことをいいます。 表紙には秋の星空を。内側にはススキや月の光をイメージした紙を使用しました。 タイトルは空押しなので、かすかに読めるていどです。 表紙 新・星物語 クロウ 見返し 里紙 すすき 箔押し 空押し この手帖はフリースペースが多いので、日記や絵日記帖、記録帖としてもオススメです。 もちろん日々のスケジュール帖としてもご利用ください。 「のほほん二十四節気」と「今月ののほほん」は毎年西尾さんの書下ろしなのですが、それぞれに、一行詩、ひとこと詩といった趣で、読み物としてもそばに置いていただけるのではないかと思います。 詩的な手帖としてぜひ、いちどお手にとってお試しください。 サイズ 197×112×10 製 本 上製・天開き・表紙箔押し 内 容 ◉2022年11月~2024年1月 ◉マンスリー(見開き)+フリーページ各月4頁(5㎜幅ドット罫線) ◉月ごとに、西尾さん自筆の「今月ののほほん」(書下ろし) ◉西尾さんのひとこと詩「のほほん二十四節気」(書下ろし) ◉新月と満月 ◉二十四節気と雑節を少々 ◉巻末に白紙のフリーメモ11頁 「今月ののほほん」(自筆) より 「寒さに負けて、笑ってみる」2月 「亀が鳴いた、気がする」4月 「薔薇の花、薔薇の声」5月 「遠い花火に、思い出すひと」8月 「烏瓜に、暮れてゆくまぼろし」10月 「二十四節気の詩」より 小寒 枯野を、駆け巡ってみる 雨水 獺(かわうそ)の祭りを、見学する 啓蟄 鶯にさそわれて、梅林へ 穀雨 風ひかって、草餅たべたい 芒種 そぼくなゆびで、枇杷をなでる 小暑 夕立、涼風、ひぐらしの声 立冬 冬めいて、時雨の音に耳をすます お取り扱い店舗はコチラよりご確認ください https://note.com/shichigatsudo/n/n19ed2b71e072 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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源流のある町【新本】
¥1,870
これは夕凪 あれは反射光 草間小鳥子 堂々の第二詩集。 「町」をテーマとした18篇を収録。 「おもかげの育て方を間違えていますよ」 執着しているからです つづら折りになった地獄が 両目に釘を刺しにくる 「適切な距離を保って」 段取りを踏めばすんなりと 形式的な不在となる 問われた罪 問われなかった罪 これで手打ちだ、と本を閉じ つじつま合わせの長い夜を越えた 去ってゆくものへの ひろびろとしたやさしさ やさしさに似た諦めが ぎりぎりの肺を満たしている 結論は出せない 出せるものでもない 仮住まいのつもりで 浮ついた季節をかぞえながら 遠い波形に目を細め (ずいぶんと高い空だ) いま ほんとうに崩れてゆく瞬間の 最後の透過へ浸水する 白い手袋で敬礼するドアマン 陽気な口笛と避難誘導 (また 電話します) むき出しの鉄骨にきらめく埃 その隙間からさす光 まっさらな 雨上がりの引力にしたがい 大きく弓を引いたまま わかりやすいものを疑いながら生きた (すべてを愛せなくたって) いま 明けかけた空へ旗が振り下ろされ ひとりきり滑空の合図だ はじまりの時そうであったように なにもないところから ただ なにもないところへ 荒れる湖を飲みこんで まっさおな胸 忘却曲線のかなたに白い帆のはためき たったひとりできみは 軽やかな骨になれ 著者プロフィール 草間 小鳥子(くさま・ことりこ) 第14 回北日本児童文学賞最優秀賞。 第27 回詩と思想新人賞受賞。(2018) 2019 年、資生堂の季刊誌『花椿』の付録として、小詩集『ビオトープ』を発表。 詩集『あの日、水の森で』(2020、土曜美術社出版販売)第71 回H 氏賞候補 著者 草間小鳥子 発行所 七月堂 発行日 2022年10月8日 四六判 並製 130ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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病棟【新本】
¥2,200
ある病棟の壁には詩が紡がれている 職場のリアルでもある。 病院での日々は患者としてしか知らない者が多い。 この詩集は病棟の中から語られ、私たちは貴重な体験をする。 「鍵」 鍵はいつもぼくらのポケットにあった なぜなら病棟に出入りするとき たいていは鍵を必要とするからだった 鍵はその昔ほんとうに先っぽにちょっとした長方形の 引っかかりがあるだけのものだった 真鍮製のまがまがしい光を放っていた それを鍵穴に入れてちょっと回すだけで解錠された ドアを開けてまた閉める 再び鍵を入れて回し施錠する それだけのことなのに 夜勤のために入るときなどは その鍵の動きだけで 静まった病棟の隅がひととき騒がしい音に占められる ぼくはただ一人でこの儀式を行わなくてはならない 病棟の患者のもとに行くために 薄暗い常夜灯に照らし出された廊下を歩き出す まるで真鍮の鍵が照らす光をたどるかのように ぼくは少しばかり不安を感じながら 看護師の詰所まで歩いていく すると詰所にも鍵は待ち構えている がちゃりと鍵を回して いったいだれがだれを閉ざしているのかもわからずに ぼくはドアを開けて部屋の明かりのなかに入っていく そうかともかくもここを守るために 鍵は何重にもなっているのだなとふと思う そうやって鍵は看護師の白衣と蛍光灯の 白い空間を守っているのだなと思う それにしてもだれがだれを守っているのか 看護師が患者を 患者が看護師を守っているのか さらには患者と看護師とを 外部のあらゆるものから守ろうとしているのか だれがそんなことを考えたのだろうか 虚しくも悲しいドアというドアをつくって 鍵という鍵をつくって それらをいっせいに作動させる そんなことを考えてもなにひとつも変わらないだろうに いずれにせよぼくらは狭い詰所に閉ざされる そして患者たちも小さな鍵に閉ざされたまま いま眠りについている 深い夜に閉ざされて そのつかの間のはかない平穏のために 鍵たちはただそれを守っているのかもしない 【目次】 夜桜 常夜灯 ドアノブ 蛇口 鍵 ナースステイション 水 影 風 診察室 メモ テレホンカード アスリート コップ スプーン 流し台 雨 拘束具 消防士 りす 木漏れ日 魚 花見 車椅子 花の悲しみ 睡眠薬 朝 給湯器 暗い影 雨音 歯科室 ファミレス ある天使 机 温室 金魚 テレビ 退院先 ひび割れた手 青白い腕 待合室 交代 木造の病棟 著者 松澤和正 発行所 七月堂 発行日 2022年8月20日 四六判 206ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955