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還るためのプラクティス / インカレポエトリ叢書22【新本】
¥990
今宿未悠詩集 第1回西脇順三郎賞新人賞 受賞作「猿」収録 息を吸って吐くこと は、言葉に回収されなければいい 【作品紹介】 採血 三叉路 がうまれますこれから注射針もう一つの道になって 腕にもりあがる血管のひとすじ、 何度も確認するように撫でる指先、 アルコール液を含んだガーゼは冷たくて、 覆いかぶされる腕 血管のところ 「いたい」 いたいことは、始まる前からわかっていたし、始まった後やわらいでいく 注射針あたらしい脈になって しゃばしゃば 外に流れ出ていく、液体 老朽化したダムの壁と壁のあいだから 豪雨に耐えきれず 外に流れ出ていく、 がさついた映像を眺めていた 頬杖をついて 生中継を 遠くのことだと思った 雨の匂いは、雨が降る前にわかる たとえば氾濫する川のこと マンホールから溢れてとまらない下水 骨の折れたビニール傘 暴風が 犬をまきあげて 攫ってしまった 「ふらつくかもしれないので、おちつくまで椅子にかけてお待ちください」 腕にバンドを巻かれているのは止血のため 待合室の椅子のやわらかく 精神科は精神を整えるための理想的な空間です パウルクレーの絵画、クラシック音楽、淡い水色の壁紙 paul klee klee くれ ください 犬 犬を 追いかけるぞ エスカレーターを駆け降りて豪雨に出ると風が髪をまきあげる髪は頭皮に繋がれているから攫わ れない 「あぶない」 あぶないことは、出る前からわかっていたし、出た後も続いていく 「そんなこといわないでっ」 叫んで走り出した、握りしめた処方箋どろどろになって繊維になって溶けていくのを薬局の人がサンダルを突っ掛けて追っかけてくる ここに持ってくるまでにそれ溶かしちゃいけないんだよお! いやだ犬を迎えにいかなくちゃいけないんですものわたし! いまごろずぶ濡れて雑巾みたいになっている犬かわいそうに 河原にいるかな そう河原にいる 河原にいってみようか! 薬局の人の手を引っつかんで風に乗る ひらり舞う 轟轟轟轟の風に乗れば意外とかろやかだ! 氾濫する川のこと 河原に向かいますわたしたち河原に向かえばきっとそこには犬がいるはずです助けてあげなくちゃならないかわいそうだ犬だから自分に何が起きているのかすらきっとわかっていないだろうお薬もらうのその後でいいですので自律神経とか整えている場合じゃないんです精神より生命の方が優先すべき事項でしょう! 氾濫する川のこと ほらあそこが隅田川だ! 生中継でさっき見たけれどもこんなにも近かったなんて知らなかったよもう他人事じゃないな、ああ、あんなところに雑巾みたいな犬がいる! 犬をください処方箋はもうこの頃には溶けるどころか握っているものはもはや何もなかった、薬局の人のサンダルは気づいたらふき飛ばされていた、でも犬がいますので大丈夫です犬は生きております! ほら濁流に怯えている茶色い水にかわいそうに今助けてあげるから風の流れから離脱したい! しかしながら離脱できない! どうすればいいんだ私たちずっと風に乗ったままこういうのって普通犬を助けようとした人も一緒に濁流に飲み込まれて行方不明になる理想的な結末からほど遠く! 自律神経が不安定な私とサンダルを飛ばされてしまった薬局の人がずぶ濡れになった雑巾みたいな犬を見ながら、空中で混乱している! 著者 今宿未悠 発行所 七月堂 発行日 2023年8月20日 四六判 98ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ひかりのような / インカレポエトリ叢書21【新本】
¥990
栁川碧斗詩集 【作品紹介】 曙光 それは深雪によりさ迷うよ うな状差しが産室を定めと りとめのない胚胎が重なり 嗚呼水源の幻のようではな いかと産褥を繕う助産師は 姿見に振り向く借景が空閑 で見付ける面影はきっと褪 めないあなたに朝焼けの光 著者 栁川碧斗 発行所 七月堂 発行日 2023年7月20日 四六判 94ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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水門破り / インカレポエトリ叢書20【新本】
¥990
森田陸斗詩集 もう この身体から降りようと思う 【作品紹介】 構築された世界の上で 捏ね繰り回された惑星に生まれて 地球のどこを切り取れば ガーターベルト、キャノン砲、プリントシール機、メンチカツ、リニアモーター、求人誌、 骨も皮も取り除かれて 牛の名前が割れる世界だ したたる命のにおいがしない いや、ぼくは一度だってここで嗅いだことはないのだ 加工済みの場所に生まれ立ち(オフィスビル枯れても) 感触の鈍い鋪道を行き続け(芽吹かない) 一体いつから建物と建物の(ガードレール風吹いても) 隙間を道と呼ぶはめになったのだろう(そよがない) 矯正した歯列と同じ等間隔に植えられた(電波塔見えない花) 街路樹は表情なくゆられる(散らさない) 大皿のおかずは不確かな善意で残されて(マンションこれ以上) 捕虜のように静かにたえている(生長しない) あらゆる装置の微音を聞くため、人は羽音を立てる虫を潰す もはや人間生物は 自ら構築した世界を廻すため、世界に構築されている 構築された世界の上で ぼくの身体だけが 未構築のままだ 鉄と灰と死骸と皮脂を 捏ね繰り回して出来た密室は 絶え間なく駆動音がしているから ぼくはぼくを動かす心音が聞きたい ドアを開けると 誰にも所有されていない空 気のにおいがした ぼくは 裸足のまま アスファルトの上を 走る 生きた空気が肌に当たる 薄クリーム色にたなびく これが 風なのか ふわりとした抵抗を進むと 去り際 反動で少し押される 倒れたボトルから血は零れ どぷっどぷっどぷっどぷっと 脈打つ 空を搔き 脈打つ 冷気吸い 脈打つ 影蹴り退け 脈打つ 影踏み掴む 喉は呼吸のはやさにひりついて 鉄管を飲み込んだようにまっすぐ冷えている 雲に一滴の墨がにじんだ 空の湿ったにおいがする 小石が やわらかく めりこんでいく へこんだ足取りは前傾のまま逡巡する 足の裏に半透明な膜の層が形成されて 段々と裸足の純度が遠のく 遠く、屋根をつく、まだらな音がする 黒く汚れた足の裏は影と癒着しながら ぼくをしっとり沈下させる 長く伸びた影に指でつつかれた 腕に水滴がひと粒くずれている ぼくは濡れたシャツが身体中に張りつく感触を想像して 濡れたシャツ? シャツなら もう 濡れているじゃないか 脈の引いた身体に冷たい心音が響く 表皮のない水からは生臭い命のにおいがする 視野の淵に 何か、何かが染み込んできて 遠い、建物が、広い、道路が、空が、どこまでも巨きい ぼくの身体は、 こんなに小さかったんだ 硬化した足の裏で 黒くぼやけた瞳孔と 目が合った 著者 森田陸斗 発行所 七月堂 発行日 2023年6月30日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ミントとカツ丼 / インカレポエトリ叢書19【新本】
¥990
牛島映典詩集 とうきょう、はいまおれの暮らす街だということです 【作品紹介】 デミオム 夜うちへ帰ったらまず音楽を流す頭のなかで ぐるぐるしている言葉をおちつかせるために YouTubeかSpotifyでシャッフル再生に設定して 聴くともなく聴いている音楽を流したまま食事をする それで思いだしたすこしだけ昔のできごと 近所の馴染みの店から持ち帰りしてきたオムライス いつもデミグラスソースのオムライスをデミオムと略して注文する おれが大学に入ってこの街へ来たときからずっと通っているその店の おっちゃんはおばちゃんといっしょにわずかな人数でその店をきりもりしている そのおっちゃんの顔がゆがむのをはじめて見た去年その店は学生街にあるんだけど あっというまに病気がはやって大学には学生が来なくなって客もすごく減ったという でもこればっかりはどげんしようもなかもんねえ というおっちゃんの声がとてもかなしかったおれは その店でおばちゃんがつくるとろとろ卵のデミオム六百円が食いたいいつでも 心の調子ときどき身体の調子は自分でどうしようもないくらいどうにもならないもので 飯も食いたくないくらいしんどい時でもそれだけは喉を通った それがたとえ七百円になっても八百円になっても千円になってもおれは食いたい その街を離れたいまでも いつでも食いにいきたい というようなことを思い出しながら食事をとっていると プレイリストから流れたもう五十年近くも昔の曲が とかいではじさつするわかものがふえている といううたいだしでおれは箸をとめて静かにきいた数分間最後まで飛ばさずにその曲を ききながら考えていた いかなくちゃきみにあいにいかなくちゃきみのまちにいかなくちゃ おれはテレビは持っていないけどスマートフォンを持っているから それでニュースを見るし今どき物好きなとよくいわれるけど新聞もたまに見る 不要不急の外出を控えてください外食は控えてください買物は控えてください コンサートは実施しないでくださいするとしたら少人数で観客は黙ったままで 劇場へいくのは映画館へ美術館へ書店へいくのはしばらくの間控えてください 県境を越える移動は自粛してください特に若い人は控えてください いかなくちゃきみにあいにいかなくちゃきみのまちにいかなくちゃ ふつう若い人は死にません四十代三十代二十代死亡例確認ただし基礎疾患あり とかいではじさつするわかものがふえている おれは持病があるから毎月病院へ通っています毎日薬ものんでいる仕方がないんだけど そうしないとどうやらふつうの人とおなじように生活ができないようなので ふつう若い人は死にません四十代三十代二十代死亡例確認ただし基礎疾患あり ただし基礎疾患あり と日々キャスターが読み上げるニュースおれは被差別者なのだろうか 急を要さない検査や手術は控えてください 若者は 少人数で黙ったままで でもこればっかりはどげんしようもなかもんねえ おれの口から出た言葉はあのときおっちゃんから聞いたのとおなじ言葉で とてもかなしかったそういうのをかなしいというのが適切なのかはわからないけど ほかに言いようがないできればこういうときあの店のデミオムが食いたい大盛は追加で五十 円の ※井上陽水『傘がない』の歌詞より引用している箇所があります。 箸袋 近ごろまた引っ越しをしたのでなんだかんだ忙しくて というのはまあいいわけでしかなくて親しい人への連絡もなんだか滞りがちで ちょっと前までうまくいっていたこともなんかよくわかんなくなっちゃって 迷うのはべつにわるいことじゃないんだけどだから 焦らなくていいってわかってるはずなんだけど じつは内心ちょっと焦っているのも自分でわかっていてそれで余計におちつかない このアパートへ入居して何週間か経って本をやっと本棚におさめ 寝る前に読もうと思って取りだした佐藤康志の文庫本に箸袋が挟まっていた それに印刷されていた字は中国料理藤園その裏に熊本市中央区水道町と むかしからそのへんにある紙をしおりのかわりに本に挟むくせがあって その本に挟まっているその中華料理屋の箸袋エビチリと麻婆豆腐と 唐揚げ定食がとびきりうまいその店の箸袋を見て思い出したその本を買った日は おれが十九歳のころたしか大学祭の準備をしていたころだから秋にさしかかっているころ その店でめしを食って夜から新市街アーケードの映画館へ行って その日に観た映画がとても好きになってその帰り道に辺りでいちばん遅くまで空いている本 屋 ツタヤへ寄って原作のその本を買って帰ったことまでたしかに思い出した いま本棚にある最近買った読みさしの吉本隆明の本にはそばうどん屋の箸袋その店は 区役所の前にある引越の届出に行った日そこでうどんを食った大田区蒲田きそば一力 七月はじめの暑い日冷やしたぬきにもできたのでそうしてもらってそれを食ったこの街へ来 て はじめての昼飯 むかしいやむかしといってもほんの何ヵ月か前まで思っていたおれは九州熊本で 詩を書くとき東京の街の名前などけっしてつかうものかと 東京の街の名前が書かれるとき口に出されるときそれがどんな文脈であろうと 読む人はそれを知っていなければいけないしあるいは わかっているようなそぶりをしなければいけないようなそういう感じがあってそういうのっ て いなかのひとの思い過ごしや劣等感かもしれないけどそういうのってすごく傲慢な感じがし て きらいだったし反抗したかったし実際そうしていたおれもいまでは成りゆきで東京に住んで いる 都民区民の自覚があるわけでもないけど九州からはなんというかいまちょっと 根っこが抜けちゃったようなあてのない気持ちになっていて だけどどこにいても同じことで新しい靴を何度も履いて馴染ませていくように その街が自分の身体になるべく馴染むように歩いてときどきそれを詩に書いたりすることで だからいまはつかうおれは毎朝乗り換える電車を夜はときどきめしを食う大田区蒲田で 著者 牛島映典 発行所 七月堂 発行日 2023年5月30日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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双子 / インカレポエトリ叢書18【新本】
¥990
奥山紗英詩集 指の一本一本の太さを/じっくりと測られるのは/誰だって嫌である 【作品紹介】 こども家庭庁 脂肪のまとわりついた緩慢な歌が 少しずつみみちゃんをころしていく キッチンは消毒液のつんとした匂いで 油ぎった換気扇を回してなんとかする ソファに寝転ぶと赤茶けた髪が落ちていて みみちゃんの黒い髪とおんなじ細さをしている ベージュ色のとっくりセーターを覚えている ぎこちなく頭をなでてきた手 やがて作り出された低くのろのろした歌 ユニットバスのトイレには入れないので みみちゃんはベランダに出て お酒入りのチョコをこっそり食べる 洗濯物が出たままになっていたから 少しずつ中へ取り込んでいく はだしで踏んだのはタバコの吸殻で 顔をしかめて指でつまみあげる 向かいのマンションの部屋たちは 全部真っ暗になっていて みみちゃんの部屋だけ仲間はずれみたい お隣はどうかと首を伸ばしてみるけど 目隠しがされていて見えない 毎日ちゃんと歯を磨きましょう 保健室の先生が言っていた みみちゃんはキッチンでうがいをする ユニットバスの洗面所には入れない 仲間はずれの子ども用歯ブラシ くたくたのパジャマに着替えると 明日食べるメロンパンのことを考える しにかけたみみちゃんは 少しずつ夢の中へ帰っていく ナマリ 築六十年の実家はナマリに囲まれていて、道行く中学生の「今日の宿題なんけー」という会話を吸収しているため、いつも柔らかく傾いていた。母親が歩くとぐらつき、父親が屋根を工事しようもんなら、ぐわんぐわん揺れた。ナマリで心配する私に、父親は「大丈夫だがー」とナマリで返すため、ぐわんぐわんとまた屋根は揺れた。 家のものは全員ナマリで、父親、母親、祖母、兄、だけでなく、鍋敷き、冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、テーブル、カーペット、あらゆるものがナマリだった。テレビはいかにもナマリに見えるが、実はそうではなくて、ナマリじゃないくせに、我々ナマリに媚びるようにナマリのフリをしていた。ナマリ、という柔らかく歪んだものとテレビは、本当は相容れなくて、相容れないのに、ナマリを表面にチョチョチョイと塗っていて、その見せかけはすぐに我々にばれ、「あれはおかしいがねー」とナマリをもって一笑に付されるのだった。テレビの他には、豆腐売りがナマリを騙っていて、夕方になると「おかべはいらんどかーい」と野太い男の声が鳴っていた。 生徒たちはマイクを持つといっそうナマリになり、どれだけ柔らかいナマリになれるか、というのを意識して競っているかのようだった。私は、自分だけは絶対にナマリになるまいと思うのに、いざ自分がマイクを持つと、さっき喋っていた彼よりいっそう柔らかいナマリとなる自分に気付くのだった。 修学旅行に行った日、ナマリたちは自身の存在に気付くと思いきや、ほぼ気付かず、それでも何となく、何もかもが歪まず、固く、真っ直ぐな街に拭いきれない警戒心と違和感を持ちながら、観光を楽しんだ。我々が歩いた街はどこもかしこもテレビだ。テレビといっても、ナマリを騙るどころか、最初からこちらにおもねる気は全くない、硬質で整然としたテレビであり、たまに映り込む別世界の方である。「こんな場所ないがー」とみんなで一笑に付していた場所は、実はちゃんと存在していて、どうやら私たちナマリの方が、こちらでは、ないもののようであり、私は二日目から具合が悪くなり始めた。 引っ越してきた場所は、どうしようもなく硬いところで、真っ直ぐに続く坂道を、毎日登ったり降りたり繰り返すと、少しずつ私の表面を覆っていたナマリがざりざりと剝がれ落ちていってしまった。現地の人だと思われるたびに、私は硬いベッドで考え込み、その様子はテレビで放映されるのだった。 著者 奥山紗英 発行所 七月堂 発行日 2023年4月28日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ8号 蜂【新本】※送料をご確認ください
¥1,000
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第7号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 大崎清夏 笠井裕之 カニエ・ナハ 川口晴美 北川朱実 小池昌代 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2023年4月30日 A5判 434ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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EXPLOSION / インカレポエトリ叢書17【新本】
¥990
真夏あむ詩集 余命とは、この夢が覚めるまでの数年のこと。//きみの声で起こして。 【作品紹介】 夕方アンチ リストカットしたところから、ぷつぷつと天使が溢れて飛んでいく。 うさぎのしっぽみたいなつまさき。 桃色につやめくきみのゆびさき。 不特定多数に不安定ないいねをもらってないと心がすかすかでおかしいや、ぼくを救える人間がこの世にぼくしかいないことなんて、中学校を卒業するより前にわかっていたことなのに。 簡単な言語で挨拶をして、最初の掴みはこれでOK、あとは脳をじゃぶじゃぶと洗うだけ。 ぼくの脳汁に漬けて染めるから、逃げ出さないか見張っておいてね。 ひとつのふきだしのなかで何についての会話かわかんなくなってきたが2回くらいあって、彼はこれを転調と呼んでいて、だからすきだったな。 ぼくの目の奥みたいな色をペンキにして漬けたみたいな色のマスカラを睫毛にべちゃべちゃと塗りたくって、焦げかけのトーストをかじる早朝。 夜が朝になる瞬間がすきで、夜更かしがやめられない。 カーテンの隙間から見える太陽光がやわらかいのは、きっと朝日には天使が混じっているからだって本気で思っている。死にたくならない。 夕方は死にたくなっちゃっていけないね。 オレンジは眠くなるし、すっぱすぎる。 甘くてとろとろしたものしか愛せないから、夜明けの空港がすき、朝方のカーテンの隙間から手を振る光がすき、あの子の抜けた歯の隙間から見える宇宙の堕とし穴がすき。 春はあったかいから、頭がおかしくなった人が増えるらしい。ぼくもその一員かもと言って笑っても、笑わないで、それでも否定も肯定もしないでね。 きみに都合のいい電波数を毎秒選んで、毎秒違うチャンネル見せて。きみは朝方のテレビ。雪解けみたいな、透明に侵食された窓。産後1秒の太陽を捕まえろ、生活リズムの鍵を握ってしまう強めの魂で、弱っちい自律神経なんかをぶっ潰したい。 著者 真夏あむ 発行所 七月堂 発行日 2022年11月25日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ7号 羊【新本】※送料をご確認ください
¥1,000
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第7号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 大崎清夏 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 小池昌代 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2022年10月31日 A5判 488ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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コンピレーション / インカレポエトリ叢書16【新本】
¥990
村田キサラヲ詩集。 これはわたしの話です。 【作品紹介】 めかくし みずから絶った背中をみないための めかくしの中で 扁平足に触れる冷たい岩 足の裏の皮膚は固い 冷たい突起物が 足の裏の皮膚を ぶつりと突破しない めかくしの中で 頼りなく伸びる手が触れた すべらかな腹 まるい乳 あたたかい唇 発されることば「放流」 魚は跳ねる 変温動物、さかな めかくしの中で コンクリートの階段を 魚の口に放り込む日々に 生臭い声に耐えかねて口をふさぐ 生臭い体に耐えかねて喉をしばる めかくしの中で 聞こえる羽音 蝿は飛ぶ 変温動物、はえ 食べ物の匂いに惑わされ なだらかな肩にとまり 両手をこすり合わせる蝿を 見つめる太陽に似たあなた 蝿には耐えられない灼熱 蝿の手足が端からちぢれ 蝿の複眼は熱につぶされ 蝿のからだは吸収されて 蝿は蝿ごと黒点である めかくしの中で 足の裏の冷えた感触 わたしの重みで 押しつけられる ゴツゴツとした岩 わたしはさむい 恒温動物、わたし 魚のように跳ねず 蝿のように飛ばず めかくしをするわたし それにしても 足の裏の皮膚は固い 冷たい突起物が 足の裏の皮膚を ぶつりと突破しない そのとき 皮膚の下では血管がやぶれ やぶれたところから血液が漏れだし 土踏まず(があるはずのところ) にジンジンと痛む痣ができていた 著者 村田キサラヲ 発行所 七月堂 発行日 2022年7月10日 四六判 98ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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電解質のコラージュ / インカレポエトリ叢書15【新本】
¥990
髙草木倫太郎詩集 集中なんてしたくない、絶望するだけだから 【作品紹介】 治療 Ⅰ 遠くで信号が点滅する(近くで戦争が勃発する) 急いで渡り切る(ゆっくり植生が崩壊する) 渡り切った後の息切れ(水爆が吸い込む空気) そして押し寄せる不快感(発散する砂の隙間) なぜ急いでしまったのか(辞書が劣化したから) 毛穴という毛穴から(唯一のサイロから) すぐに蒸発するはずの(永遠に消えないであろう) 汗が噴き出す(核のエネルギーが飛び立つ) 風が彼らの表面を浚い(時間が何も解決せず) 体温が奪われていく(鉢植えに水をあげる) 帰ったらシャワーを浴びよう(エアコンを修理しよう) そう決めて帰路につく(翻意してノートを開く) 汗はもう、干からびていた(水害で破壊された田んぼ) 風が浚うものはもうない(風邪が消耗する体力は残っていない) 私の命も干からびる(荒野に萌芽が見出される) シャワーを浴びると(パテが意味をなさないと) 人体は大理石のように輝き(蛹は不可視に包まれ) 永遠の封印を受ける(永遠の封印を受ける) 最後の抵抗(最初の発話) 最後の永遠(最後の地球) しかし、家に着くと(ところで、テレビをつけると) なんとなくいいような(確実に醜い) うまくいく気がして(気がして) シャワーを浴びずじまい(導線をひきちぎる) こうやって生きていくのだろうか(知らん) Ⅱ 間奏曲に(ピラミッドの建設現場で) 外に出て切手を買う(空洞ができた場所には) トランペットが雲を吹き飛ばし(奴隷の汗が染み込んで) 空は隅々まで澄んでいる(地中でマントルを形成する) 本文を書き忘れたので(残ったコーヒーを) 空の封筒を送る(捨てようと思ったのは) 今私が体感しているものを(今まで断片が紡いだ演奏の) 余すことなく伝えるため(結果であった) 再開の時間(背表紙には) 席に戻ると、心配になる(蜘蛛の巣とバーコードが) なぜなら正しい切手を買ったか(城壁のような格好をして) わからなくなってしまうから(全てが明るみに出た) 演奏は再び盛り上がるが(山の頂上から見下ろしても) 私はヤキモキ(焼きそばの流れしか見えなくて) 同じ気持ちで楽しめず(大理石のひび割れを) 後悔の念が襲う(一本一本麺で修復する) 知って欲しい(全てを隠そうとして) 私が感じる全てのことを(全てが明るみに出たと思えば) 感じて欲しい(そのことによって全てが隠れて) あなたが知っている全てのことを(再び明るみに出る) シンバルの音で(琴線に触れるのは) 私の心配は吹き飛んだ(他でもない金メッキの) それでは、お返事お待ちしております(何か) Ⅲ 商品棚の間で踊っていると(ヴァスコ・ダ・ガマが思い出せなくて) 鬱屈とした顔の店員が(インド航路を発見すると) 羨望の眼差しで私を見つめる(自分が教科書に載ってしまい) その目線にたじろいだ私は(ヴァスコ・ダ・ガマを殺してしまった) 商品棚が双方から迫り来るのに(ガチャガチャの商品になった彼は) 争うことができなかった(戦争に駆り出されて) 諦めて逃げる(生き返る) 手にはグレープフルーツ(コンパスの針をもぎ取って) 走れば走るほど、中身が逃げる(鉢植えに植える) 店の入り口には小さな人影が(エッフェル塔の模型が生えてきて) 背中を向けて、何かを呟いている(中にはチョコレートが) 「開放してくれ」(溶けそうになっていた) 私は去り際、彼に中身のないグレープフルーツを渡した(「おかえり」) 彼は短く答える(読経で足が痺れると) 「こんなもんだよな」(「流石に疲れた」) 店を出てすぐ、激しい陽光が私を捉えた(地球の自転に足を取られて) 目が眩みふらっとしたが(サングラスを川に落とした) それで良いのかもしれない(どんぶらこ) Ⅳ タバコのガラスケースが、レジの横に(玉露の意味を知らなくて) 心地悪そうに立っている(恥をかいたその時) ガラスケースは全てについて無関心だが(チタン製の鉄拳に) 自分の身なりには気を遣う(思い切り殴られて) ガラスケースの側面には(四本も手があれば) にこりと笑うおじさんのポスターが(なんでもできそうなものだが) 貼ってある(香水の香りに負けて) 名はハンフリー・ボガート(分解してしまった) 右手でタバコを吹かしている(左手はチタン製) ガラスケースは(国語の授業を退屈そうに) 「ポスターは過ぎ去りし日の思い出ではなく(「聞いた過去」) 敗北と勝利のシンボルなのだ」(「聞かない未来」) と主張して譲らない(党大会の罵声) 「彼の微笑みは君に向けられてはいない(ソーセージの製造過程と) 君の無関心に向けられているのだ(本の製本過程は) 君が美しいものに無関心だからこそ(同じくらい醜いと) 彼がそれを独占できるのだ」(シェイクスピアが言った) ある男がタバコを買って帰る(タバコを吸うと) ボガートは、帰り際の彼に(肺がんになる) ガラスケースの言うことは傾聴に値しないと(から) こっそり耳打ちする(吸わない) 著者 髙草木倫太郎 発行所 七月堂 発行日 2022年6月10日 四六判 ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ぎゃるお / インカレポエトリ叢書14【新本】
¥990
青木風香詩集 ぎゃるおは、けれど、いつも寂しい。 久しく凸凹道のエネルギーが生み出す本当の恋というのは忘れ去られていたわけです。 著者 青木風香 発行所 七月堂 発行日 2022年4月25日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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阿坂家は星のにおい / インカレポエトリ叢書13【新本】
¥990
澤田七菜詩集 骨は/石鹸で洗ったかのように真っ白で/眩しかった 【作品紹介】 詩をよんでいると 詩をよんでいると どんどん親指がかわく 親指から どんどんかわきがひろがって たまらず水を飲む 水を飲んで 飲んで 飲んで 詩をよむ それでも最後には カラカラになっている 詩をよんでいると なぜか飼っているうさぎが寄ってくる そして詩集にかぶりつく 思わず声を上げる やめてよ あなたには長生きしてほしいんだから それでも詩集はどんなおやつよりも食いつきがよくて おかげでわたしが持っている詩集のほとんどは うさぎの歯形がついている 詩を読んでいると目の前がぐらつく さまざまなひろい草原が ただでさえ隙間のない頭に入り込んできて 行くべき草原がわからなくなる そのうちくらい穴にはまってしまって わたしはさらに詩をあさる あさって あさって あさって やはりさらにわからなくなる 詩をよんでいると 笑われる かくの? 詩を? ポエムを? わたしは黙ってその人の目を見つめていう かきます すると 開き直るなポエム野郎っていわれる あなたはいま 言葉を並べたよね それはもうすでに詩だよ あなたは息をするのと同じくらい このポエム野郎と同じくらい詩を発しているんだよ 著者 澤田七菜 発行所 七月堂 発行日 2022年3月25日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ6号 獏【新本】※送料をご確認ください
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【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第6号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 小池昌代 小沼純一 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2021年11月1日 A5判 413ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ第4号 鯨【新本】※送料をご確認ください
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【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第4号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 城戸朱理 小池昌代 小沼純一 管啓次郎 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2021年4月1日 A5判 376ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576
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インカレポエトリ第3号 犀【新本】※送料をご確認ください
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【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第3号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 城戸朱理 小池昌代 小沼純一 管啓次郎 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2020年10月1日 A5判 372ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ1~2号【新本】 ※送料をご確認ください
¥500
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集です。 編集 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 小池昌代 管啓次郎 瀬尾育生 樋口良澄(2号より) 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 A5判 並製 210ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1~3冊 →「クリックポスト」 *4冊 →「レターパックライト370」 *5、6冊 →「レターパック520」 *7冊以上 →「クロネコヤマト宅急便」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみには歩きにくい星 / インカレポエトリ叢書12【新本】
¥990
佐々波美月詩集 「あたしのセンチメンタルはあなたの九九に勝つ。」 【作品紹介】 へたくそな風景画 夏服がこんなにも白いのは 刺殺が多い季節だから みんな裏の裏まで知ってほしくて 知ってほしくて必死なんだよ しらじらしく わたし 白昼夢のなかでうだっていたが 水色の油絵具がべつに冷たくなんてないことを 知っているくらいにはもう大人だった きらいになったわけではないんだよ 誰かに着けられていたわけでもないんだよ 通学路の文の字の すきまのさんかくが怖くて SFみたいに逃げていたら 夜になっただけ 音割れした愛のない しずかな国を探していただけ いつだって ほら ちゃんと帰るしかないでしょう さみしい患部に薬を塗ったら 明日こそまじないから解かれますようにと うるさい街に溺れていくから 朝起きてすぐに氷を噛むから サイダーに沈む金平糖を 掬いだすように たすけて! テレパシーをおぼえた十七の夏 第六感できみを待つ 著者 佐々波美月 発行所 七月堂 発行日 2021年10月31日 四六判 92ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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たましいの移動 / インカレポエトリ叢書11【新本】
¥990
國松絵梨詩集 第27回中原中也賞受賞作 流れているものにつくついていけば 指をはう 【作品紹介】 「立体」 光がふってきて 立体をつくっている うちがわへはいる 一部になる 光になる 波のように新緑がゆっくりとはためくとき わたしはその新緑にふれている 浮遊している 宙に 腰かけ見降すときの あしもとと 腹部のあいだを 波が かこんで 沿って かすめて とおりすぎていく つかまえられそうな輝きのために 片腕が弧をえがく す という音がたしかにきこえた気 が する 腕をあげたときの指先を目で追うときのたゆたうような時 の ながれ うすいいろの爪にはじかれた光線が網膜を 焼きつける 脇をするりと猫のように 風 が まとわりつく そのときの ふわりとしたかたまりは尾を 逃しながらもまた 大気へと 戻ってゆく 果てでまた会おう と 約束する 「縫製する」 地震なのか、自分の心拍数なのかわからない。 半分くらい、あなたと会う 間くらいのところで 揺れたから 目を覚ましたのだ。 心臓であってほしい、明日会えないから、 そうした単純な願いでどうにか、 どうにかこの地平は縫いあわされている、 縫い合わされていろ! 心を寄せるべきものに 波が来る前に舵をとれ 舵をとらねばならない、 舵をとらねばならない、舵を、とらねばならない 舵を 舵が とれない、とられない、わたしたちが にぎっている時間がこぼれていく、 砂のように、指の隙間から、 どくどくと わたしたちは 頭の中でばかり詩を書くことはできない 降ろされてきた荷がすべて、言葉ひとつひとつにのしかかっている 知ってしまえばなかったことには できない なかったことなどない、 全部、あった、のだしありつづけている、 ありつづけている、これからも、そうしてまた舵を、 舵を、舵を! とらねばならない。 少し足りないくらいの引きようが わたしたちを保っている、 安堵していては物語は はじまらない 宇宙から はるばるなにかが届く 光線か 願いか サスティンか 雲の分子が肺をふくらせしばし、停滞する、 うちがわで、渦を巻いている。 届かなくなったものこそ、棚の上で 在りようを放っている かざる痛みが、 わたしたちを保っている。 著者 國松絵梨 発行所 七月堂 発行日 2021年8月10日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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Lolita / インカレポエトリ叢書10【新本】
¥990
二見遼詩集 存在という欠落を、愛することなどできませんでした 【作品紹介】 コペルニクス おまえとわたしの孤独がけっして重ならないから ぼくはあなたと手を取って回転し えいえんを願うことができるのだと思う あるいはきみの存在が否定されて こくいっこく 砂塵に還る そうしてわたしはあなたを祈る 睫毛の生え際をつつむまどろみを見つめ ほそい葉のこすれる音を聞いた とおくから近づいてくるものの正体をぼくは知っているけれど それをきみにはなすことはないだろう なすすべもない渇きに背を向けて 必要があるならばゆったりとしたきみの髪を抱えて逃げ出そう 痛みはかすかにまたたく いつの日か近づくことができたなら それはなんとおそろしくあたたかな夜明けであるか 抱きあい燃え落ちる一瞬の閃光 つかれはて爛熟した旅の終わりと 解き放たれた生命の胞子 ゆきたいところなど、ほかにはもう/ ぼくはただ沈黙していようと思う 六畳一間のちいさい宇宙でおこるひめごとを すべてゆるして、塗り固めたガラスのうちに じっと眺めていようと思う 透明は罰のいろ ゆらめく美徳とエゴイズムの罪のいろ ゆるすことは、刻み込むことだ 見紛うほどに処刑者は燦然と 頭上に浮かぶ冒瀆的なほほえみを照らしている つみびとこぞりて 彼らの音楽が流刑地へと続く 目をふさぎ、耳を劈く 最後の明滅の、尽きる音を聞く 著者 二見遼 発行所 七月堂 発行日 2021年5月31日 四六判 93ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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洞 / インカレポエトリ叢書9【新本】
¥990
牛山茉優詩集 「滞ることは止まることではなく 流れることが進むことではない」 【作品紹介】 濡れた石 例えば、濡れた石がそこにあり 日々は流れていくとする 石には小さな血が流れているが 行き交う人には届かない 声は出ず 動けもせず 目を瞑る 例えば、濡れたお前がここにあり 日々が進んでいくとする お前には人並みに血が流れているが 目の前の誰もが気づかない 声も出さず 動きもせず 夢も見ず 例えば、濡れた私がそこにいて 日々を反復するとする 私には大きな血が流れているが そこにいるだけ、気づかない たまに腕を持ち上げてみると ひとりがちらっと振り返る 私は物足りず 大声をはるが 誰にもそれは届かない 濡れた私は知らぬ間に ある日石になっていた それには小さな血が流れているが 行き交う人には届かない 声は出ず 動けもせぬが 夢は見る 著者 牛山茉優 発行所 七月堂 発行日 2021年4月30日 四六判 93ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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聖者の行進 / インカレポエトリ叢書8【新本】
¥990
長尾早苗詩集 「わたしもかつてはくらげだった」 【作品紹介】 プレゼント 遺言状って究極の自己満足だよね と友人が言っていた その場で何も言えなかったわたしは 夢で 三十年後のわたしに聞いてみた ねえ 伝えられないもがきを伝えるって自己満足なの 三十年後のわたしは そうねえ、わたし本当に死んでないから分からないわ と柔らかく微笑んで たぶん彼女は と続ける 一度死んでないわね 朝目覚めて 庭の花に水をやる 疲れはてたわたしはよく ああ花になりたい などと甘えたことを思ってしまう 水と太陽と二酸化炭素だけで生きられるなんて! 嘘をつかないで枯れてゆくなんて! 生きるって、パワーだ ものすごく しんどくなるときもある お腹が空くと無性に悲しくなるし 放っておいて! と かまって! の気持ちがごちゃごちゃして かさばる 感情なんて難しいもの 持って生まれてきたわたしたちってみな苦しい 昔 植物人間の本を読んだことがある かわいそう と思ったり、した はずなのに 疲れはてたら植物になりたいなんて わたしはとても 生きることに甘えている そうねえ、あなたってとても と三十年後のわたしは笑う むやみやたらと地面に繋がっているような気がするわ そうなのかしら そうよ、花って一生そうなのよ かわいそう、つらそう だから、花は美しくなるしかなかったのかもね 花を愛するひとに悪いひとはいない と母が教えてくれたことがある 花に添えられた ありがとう のメッセージカードを盗み読みしてしまうたび 仕事中なのにほろりとしてしまう ひとは つらくてもごはんを食べて 眠って 生きなくちゃいけないから ひとにことばや花を贈る それはとても美しい行為で 花が人生になかったら と考えると ちょっとぞっとする 明日も朝目覚めたら 去年母に贈った花に水をやろう 生きるってそんなに嫌いじゃないと 思えるかもしれない 著者 長尾早苗 発行所 七月堂 発行日 2021年3月30日 四六判 91ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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アイスバーン / インカレポエトリ叢書7【新本】
¥990
久納美輝詩集 「踏み固めるのではなく、噛み砕くのだよ」 姿勢 なんとなく 生きていける予感がしていたが 姿勢がいい人はそれを 肯定することをしなかった それは目の前の人のためなのか 目の前の人が自信を なくしていくための行為なのか わからなくて 目の前の人は表と裏を くるくるのぞきこんだりしていた それは学ぶものではなく、悟っていくものなのだ 目の前の人は 姿勢のいい人の口から漏れている はっきりしている 紫色の息が いやだ なんとなくいやだ 目の前の人は姿勢のいい人が 背負っている大切なものを ゆずりうけようとしている すこしずつ増えてゆくものを なにも言えない目の前の人は 重い、かたいと折れる たまひろい ボールを打つことだけをかんがえて 打席に立てるのはいったいなんにんなんだろう レフトで大声をだしているときふいにおもった チームメイトがわらい、相手ベンチもわらう 試合がおわるといつも通り練習がはじまり わたしは女子硬式テニス部のコートにとびこんだ ボールの謝罪にいくのだ 赤面して頭をさげる 女たちのうんざりとしたため息がきこえる 声をあげることがにがてなわたしは だまってボールを取りにいく いやな目線にかこまれる じっさいにとりかこまれて くらったこともある わたしが守備についたのはその試合が最後であった わたしはあやまりかただけを野球でおぼえた 著者 久納美輝 発行所 七月堂 発行日 2021年2月28日 四六判 92ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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個室 / インカレポエトリ叢書6【新本】
¥990
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赤司琴梨詩集 「わたしを赤面させる失語症は わたしのからだを拡張する わたしを繭から摘出する、行為」 【作品紹介】 芽吹く 腹にちっちゃいぶつぶつがたくさんできていてさけんだ あなたはわざわざ脱衣所まで走ってきたが ちっちゃいぶつぶつができていたに過ぎない わたしはあまえた声で ぶつぶつができたの と腹を見せつけてやった 変なものを食べたのかね 脱衣所にひざまずいたあなたは 雪が降ったあとのようについた脂肪に繰り返し くちびるを埋めた その日見た夢は わたしの腹にはぶつぶつではなく 胎児がいたのでまたさけんだ なんかできたの と腹を見せつけると あなたは声が聞こえると言って 腹に耳をあてた あなたはぶつぶつができても きっと何も言うことはなく わたしばかりが大ごとにしている 身体に起きるさまざまな変化たちを わたしは愛することができず 病気の樹木が持つ幾数の瘤と似た感情で シリアルですませた朝のやわらかな、 毛布にくるまり足先をすりあわせる、 腹にできたぶつぶつをかぞえながら、 けだるい朝が、昼が、夜が、 剝製になって白木の箱におさめられるとき わたしの腹から芽吹いたのは 庭 庭が少し沈んだような 気がして お隣の旦那さんに相談したら 土が悪いようだね と言うので コンクリートで固めることにした 草木を全部ひっこぬくのは かわいそうだけど 家が沈んだら困るので お隣の旦那さんとひっこぬいた 種を撒き散らすばかりの タンポポの群生が うっとうしくて それからは一人で ホームセンターで買った セメントと砂利と水を 練って 流し込んで ならして 練って 流し込んで ならして 平らな庭が広がっていくのを 夢心地で見ていた 平らな庭には 塀 のほか なにもない なにもない と思っていたら 最後の一角を埋めるとき 二匹のヤモリが慌てて土から 這い出して行った その夜は大雨だった 排水孔をつけるのを 忘れたために 庭には 水が流れるあてもなく 充満した 布団に横たわって 庭を見ながら また起き上がろうか このまま 寝てしまおうか 考えるうちに あとからあとから 水が 少しずつ隙間から 地面に 染み込んでいく このままだと コンクリートの下では 地盤沈下がすすむ一方で 床もなんだか さっきから 傾いている 気がする 家は 確実に 崩れていく なのに ほっといたままわたし なきわめきもしない 著者 赤司琴梨 発行所 七月堂 発行日 2021年1月30日 四六判 93ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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稼働する人形 / インカレポエトリ叢書5【新本】
¥990
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長谷川美緒詩集 「人間ではなくなるときが近づいてくるのを、じっと待っている。」 【作品紹介】 霧雨ほど注意しなければならない、と むかし母親がおおまじめな顔で 言っていたのだった 濡れていないと思っていても 水は肌からしみこんで からだの奥へ浸透する 気づかないうちにしめりけが ぐずぐずと巣食うのだから 傘を差すことを怠ってはいけない と 雨のもたらすやまいを 彼女はおそれていた それがどんなやまいであるのか わたしには見当もつかなかった あの頃は 手を伸ばせば届くところに 傘がたくさん置いてあった 乾いた後できっちり畳まれ 玄関に立てかけられて 霧雨をわたしは好きだった 触れてはいけない理由など分からない 雨を避けて暮らすことに 反発をつよめてからは 小雨にも大降りの雨にも すすんで肉体を差し出した 世界に濡れてまじわるとき わたしはすべてに君臨する とにかく誇らしいのである 濡れたものも乾かないうちに ふたたび外へ跳び出して 家には寄りつかなかった からだに張りつく水気は 苔の生えた万年床のように 全身をやわらかく包みこみ やがて湿った布団の中から 極彩色の夢の胞子が漂い始める わたしは胞子を胸に抱いて 大切に大切に育てた あざやかな色が肌の上に ゆっくりと延び広がって すきまを埋める その頃しみこんだ雨粒が 深い場所に溜まっていて 時おりひょっとしゃっくりする つめたく残るやまいのたねが 肉を 神経を 骨をおかして わたしをみじめな骸にする はやく屋根のあるところに入り 台所の火を熾さなくては そう思って一散に走る わたしだけの部屋にたどり着き 扉を閉めて鍵をかける 夢の名残を乾かすために (本書より「万年水」) 著者 長谷川美緒 発行所 七月堂 発行日 2020年12月10日 四六判 91ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955