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EXPLOSION / インカレポエトリ叢書17【新本】
¥990
真夏あむ詩集 余命とは、この夢が覚めるまでの数年のこと。//きみの声で起こして。 【作品紹介】 夕方アンチ リストカットしたところから、ぷつぷつと天使が溢れて飛んでいく。 うさぎのしっぽみたいなつまさき。 桃色につやめくきみのゆびさき。 不特定多数に不安定ないいねをもらってないと心がすかすかでおかしいや、ぼくを救える人間がこの世にぼくしかいないことなんて、中学校を卒業するより前にわかっていたことなのに。 簡単な言語で挨拶をして、最初の掴みはこれでOK、あとは脳をじゃぶじゃぶと洗うだけ。 ぼくの脳汁に漬けて染めるから、逃げ出さないか見張っておいてね。 ひとつのふきだしのなかで何についての会話かわかんなくなってきたが2回くらいあって、彼はこれを転調と呼んでいて、だからすきだったな。 ぼくの目の奥みたいな色をペンキにして漬けたみたいな色のマスカラを睫毛にべちゃべちゃと塗りたくって、焦げかけのトーストをかじる早朝。 夜が朝になる瞬間がすきで、夜更かしがやめられない。 カーテンの隙間から見える太陽光がやわらかいのは、きっと朝日には天使が混じっているからだって本気で思っている。死にたくならない。 夕方は死にたくなっちゃっていけないね。 オレンジは眠くなるし、すっぱすぎる。 甘くてとろとろしたものしか愛せないから、夜明けの空港がすき、朝方のカーテンの隙間から手を振る光がすき、あの子の抜けた歯の隙間から見える宇宙の堕とし穴がすき。 春はあったかいから、頭がおかしくなった人が増えるらしい。ぼくもその一員かもと言って笑っても、笑わないで、それでも否定も肯定もしないでね。 きみに都合のいい電波数を毎秒選んで、毎秒違うチャンネル見せて。きみは朝方のテレビ。雪解けみたいな、透明に侵食された窓。産後1秒の太陽を捕まえろ、生活リズムの鍵を握ってしまう強めの魂で、弱っちい自律神経なんかをぶっ潰したい。 著者 真夏あむ 発行所 七月堂 発行日 2022年11月25日 四六判 96ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ7号 羊【新本】※送料をご確認ください
¥1,000
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第7号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 大崎清夏 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 小池昌代 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2022年10月31日 A5判 488ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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コンピレーション / インカレポエトリ叢書16【新本】
¥990
村田キサラヲ詩集。 これはわたしの話です。 【作品紹介】 めかくし みずから絶った背中をみないための めかくしの中で 扁平足に触れる冷たい岩 足の裏の皮膚は固い 冷たい突起物が 足の裏の皮膚を ぶつりと突破しない めかくしの中で 頼りなく伸びる手が触れた すべらかな腹 まるい乳 あたたかい唇 発されることば「放流」 魚は跳ねる 変温動物、さかな めかくしの中で コンクリートの階段を 魚の口に放り込む日々に 生臭い声に耐えかねて口をふさぐ 生臭い体に耐えかねて喉をしばる めかくしの中で 聞こえる羽音 蝿は飛ぶ 変温動物、はえ 食べ物の匂いに惑わされ なだらかな肩にとまり 両手をこすり合わせる蝿を 見つめる太陽に似たあなた 蝿には耐えられない灼熱 蝿の手足が端からちぢれ 蝿の複眼は熱につぶされ 蝿のからだは吸収されて 蝿は蝿ごと黒点である めかくしの中で 足の裏の冷えた感触 わたしの重みで 押しつけられる ゴツゴツとした岩 わたしはさむい 恒温動物、わたし 魚のように跳ねず 蝿のように飛ばず めかくしをするわたし それにしても 足の裏の皮膚は固い 冷たい突起物が 足の裏の皮膚を ぶつりと突破しない そのとき 皮膚の下では血管がやぶれ やぶれたところから血液が漏れだし 土踏まず(があるはずのところ) にジンジンと痛む痣ができていた 著者 村田キサラヲ 発行所 七月堂 発行日 2022年7月10日 四六判 98ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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電解質のコラージュ / インカレポエトリ叢書15【新本】
¥990
髙草木倫太郎詩集 集中なんてしたくない、絶望するだけだから 【作品紹介】 治療 Ⅰ 遠くで信号が点滅する(近くで戦争が勃発する) 急いで渡り切る(ゆっくり植生が崩壊する) 渡り切った後の息切れ(水爆が吸い込む空気) そして押し寄せる不快感(発散する砂の隙間) なぜ急いでしまったのか(辞書が劣化したから) 毛穴という毛穴から(唯一のサイロから) すぐに蒸発するはずの(永遠に消えないであろう) 汗が噴き出す(核のエネルギーが飛び立つ) 風が彼らの表面を浚い(時間が何も解決せず) 体温が奪われていく(鉢植えに水をあげる) 帰ったらシャワーを浴びよう(エアコンを修理しよう) そう決めて帰路につく(翻意してノートを開く) 汗はもう、干からびていた(水害で破壊された田んぼ) 風が浚うものはもうない(風邪が消耗する体力は残っていない) 私の命も干からびる(荒野に萌芽が見出される) シャワーを浴びると(パテが意味をなさないと) 人体は大理石のように輝き(蛹は不可視に包まれ) 永遠の封印を受ける(永遠の封印を受ける) 最後の抵抗(最初の発話) 最後の永遠(最後の地球) しかし、家に着くと(ところで、テレビをつけると) なんとなくいいような(確実に醜い) うまくいく気がして(気がして) シャワーを浴びずじまい(導線をひきちぎる) こうやって生きていくのだろうか(知らん) Ⅱ 間奏曲に(ピラミッドの建設現場で) 外に出て切手を買う(空洞ができた場所には) トランペットが雲を吹き飛ばし(奴隷の汗が染み込んで) 空は隅々まで澄んでいる(地中でマントルを形成する) 本文を書き忘れたので(残ったコーヒーを) 空の封筒を送る(捨てようと思ったのは) 今私が体感しているものを(今まで断片が紡いだ演奏の) 余すことなく伝えるため(結果であった) 再開の時間(背表紙には) 席に戻ると、心配になる(蜘蛛の巣とバーコードが) なぜなら正しい切手を買ったか(城壁のような格好をして) わからなくなってしまうから(全てが明るみに出た) 演奏は再び盛り上がるが(山の頂上から見下ろしても) 私はヤキモキ(焼きそばの流れしか見えなくて) 同じ気持ちで楽しめず(大理石のひび割れを) 後悔の念が襲う(一本一本麺で修復する) 知って欲しい(全てを隠そうとして) 私が感じる全てのことを(全てが明るみに出たと思えば) 感じて欲しい(そのことによって全てが隠れて) あなたが知っている全てのことを(再び明るみに出る) シンバルの音で(琴線に触れるのは) 私の心配は吹き飛んだ(他でもない金メッキの) それでは、お返事お待ちしております(何か) Ⅲ 商品棚の間で踊っていると(ヴァスコ・ダ・ガマが思い出せなくて) 鬱屈とした顔の店員が(インド航路を発見すると) 羨望の眼差しで私を見つめる(自分が教科書に載ってしまい) その目線にたじろいだ私は(ヴァスコ・ダ・ガマを殺してしまった) 商品棚が双方から迫り来るのに(ガチャガチャの商品になった彼は) 争うことができなかった(戦争に駆り出されて) 諦めて逃げる(生き返る) 手にはグレープフルーツ(コンパスの針をもぎ取って) 走れば走るほど、中身が逃げる(鉢植えに植える) 店の入り口には小さな人影が(エッフェル塔の模型が生えてきて) 背中を向けて、何かを呟いている(中にはチョコレートが) 「開放してくれ」(溶けそうになっていた) 私は去り際、彼に中身のないグレープフルーツを渡した(「おかえり」) 彼は短く答える(読経で足が痺れると) 「こんなもんだよな」(「流石に疲れた」) 店を出てすぐ、激しい陽光が私を捉えた(地球の自転に足を取られて) 目が眩みふらっとしたが(サングラスを川に落とした) それで良いのかもしれない(どんぶらこ) Ⅳ タバコのガラスケースが、レジの横に(玉露の意味を知らなくて) 心地悪そうに立っている(恥をかいたその時) ガラスケースは全てについて無関心だが(チタン製の鉄拳に) 自分の身なりには気を遣う(思い切り殴られて) ガラスケースの側面には(四本も手があれば) にこりと笑うおじさんのポスターが(なんでもできそうなものだが) 貼ってある(香水の香りに負けて) 名はハンフリー・ボガート(分解してしまった) 右手でタバコを吹かしている(左手はチタン製) ガラスケースは(国語の授業を退屈そうに) 「ポスターは過ぎ去りし日の思い出ではなく(「聞いた過去」) 敗北と勝利のシンボルなのだ」(「聞かない未来」) と主張して譲らない(党大会の罵声) 「彼の微笑みは君に向けられてはいない(ソーセージの製造過程と) 君の無関心に向けられているのだ(本の製本過程は) 君が美しいものに無関心だからこそ(同じくらい醜いと) 彼がそれを独占できるのだ」(シェイクスピアが言った) ある男がタバコを買って帰る(タバコを吸うと) ボガートは、帰り際の彼に(肺がんになる) ガラスケースの言うことは傾聴に値しないと(から) こっそり耳打ちする(吸わない) 著者 髙草木倫太郎 発行所 七月堂 発行日 2022年6月10日 四六判 ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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ぎゃるお / インカレポエトリ叢書14【新本】
¥990
青木風香詩集 ぎゃるおは、けれど、いつも寂しい。 久しく凸凹道のエネルギーが生み出す本当の恋というのは忘れ去られていたわけです。 著者 青木風香 発行所 七月堂 発行日 2022年4月25日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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阿坂家は星のにおい / インカレポエトリ叢書13【新本】
¥990
澤田七菜詩集 骨は/石鹸で洗ったかのように真っ白で/眩しかった 【作品紹介】 詩をよんでいると 詩をよんでいると どんどん親指がかわく 親指から どんどんかわきがひろがって たまらず水を飲む 水を飲んで 飲んで 飲んで 詩をよむ それでも最後には カラカラになっている 詩をよんでいると なぜか飼っているうさぎが寄ってくる そして詩集にかぶりつく 思わず声を上げる やめてよ あなたには長生きしてほしいんだから それでも詩集はどんなおやつよりも食いつきがよくて おかげでわたしが持っている詩集のほとんどは うさぎの歯形がついている 詩を読んでいると目の前がぐらつく さまざまなひろい草原が ただでさえ隙間のない頭に入り込んできて 行くべき草原がわからなくなる そのうちくらい穴にはまってしまって わたしはさらに詩をあさる あさって あさって あさって やはりさらにわからなくなる 詩をよんでいると 笑われる かくの? 詩を? ポエムを? わたしは黙ってその人の目を見つめていう かきます すると 開き直るなポエム野郎っていわれる あなたはいま 言葉を並べたよね それはもうすでに詩だよ あなたは息をするのと同じくらい このポエム野郎と同じくらい詩を発しているんだよ 著者 澤田七菜 発行所 七月堂 発行日 2022年3月25日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ6号 獏【新本】※送料をご確認ください
¥900
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第6号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 小池昌代 小沼純一 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 四元康祐 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2021年11月1日 A5判 413ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ第4号 鯨【新本】※送料をご確認ください
¥900
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第4号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 城戸朱理 小池昌代 小沼純一 管啓次郎 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2021年4月1日 A5判 376ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576
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インカレポエトリ第3号 犀【新本】※送料をご確認ください
¥900
SOLD OUT
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集の第3号です。 【編集】 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 北川朱実 城戸朱理 小池昌代 小沼純一 管啓次郎 瀬尾育生 永方佑樹 中村純 野村喜和夫 蜂飼耳 樋口良澄 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 発行日 2020年10月1日 A5判 372ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1冊→「クリックポスト」 *2冊→「レターパックライト」 *3~4冊→「レターパックプラス520」 *5〜8冊→「クロネコヤマト80サイズ」 *9〜10冊→「クロネコヤマト100サイズ」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インカレポエトリ1~2号【新本】 ※送料をご確認ください
¥500
【内容紹介】 様々な大学の学生が参加している学生詩集です。 編集 朝吹亮二 新井高子 伊藤比呂美 笠井裕之 川口晴美 小池昌代 管啓次郎 瀬尾育生 樋口良澄(2号より) 発行 インカレポエトリ 印刷 七月堂 A5判 並製 210ページ 【送料ご選択時にご注意ください】 *1~3冊 →「クリックポスト」 *4冊 →「レターパックライト370」 *5、6冊 →「レターパック520」 *7冊以上 →「クロネコヤマト宅急便」 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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きみには歩きにくい星 / インカレポエトリ叢書12【新本】
¥990
佐々波美月詩集 「あたしのセンチメンタルはあなたの九九に勝つ。」 【作品紹介】 へたくそな風景画 夏服がこんなにも白いのは 刺殺が多い季節だから みんな裏の裏まで知ってほしくて 知ってほしくて必死なんだよ しらじらしく わたし 白昼夢のなかでうだっていたが 水色の油絵具がべつに冷たくなんてないことを 知っているくらいにはもう大人だった きらいになったわけではないんだよ 誰かに着けられていたわけでもないんだよ 通学路の文の字の すきまのさんかくが怖くて SFみたいに逃げていたら 夜になっただけ 音割れした愛のない しずかな国を探していただけ いつだって ほら ちゃんと帰るしかないでしょう さみしい患部に薬を塗ったら 明日こそまじないから解かれますようにと うるさい街に溺れていくから 朝起きてすぐに氷を噛むから サイダーに沈む金平糖を 掬いだすように たすけて! テレパシーをおぼえた十七の夏 第六感できみを待つ 著者 佐々波美月 発行所 七月堂 発行日 2021年10月31日 四六判 92ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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たましいの移動 / インカレポエトリ叢書11【新本】
¥990
國松絵梨詩集 第27回中原中也賞受賞作 流れているものにつくついていけば 指をはう 【作品紹介】 「立体」 光がふってきて 立体をつくっている うちがわへはいる 一部になる 光になる 波のように新緑がゆっくりとはためくとき わたしはその新緑にふれている 浮遊している 宙に 腰かけ見降すときの あしもとと 腹部のあいだを 波が かこんで 沿って かすめて とおりすぎていく つかまえられそうな輝きのために 片腕が弧をえがく す という音がたしかにきこえた気 が する 腕をあげたときの指先を目で追うときのたゆたうような時 の ながれ うすいいろの爪にはじかれた光線が網膜を 焼きつける 脇をするりと猫のように 風 が まとわりつく そのときの ふわりとしたかたまりは尾を 逃しながらもまた 大気へと 戻ってゆく 果てでまた会おう と 約束する 「縫製する」 地震なのか、自分の心拍数なのかわからない。 半分くらい、あなたと会う 間くらいのところで 揺れたから 目を覚ましたのだ。 心臓であってほしい、明日会えないから、 そうした単純な願いでどうにか、 どうにかこの地平は縫いあわされている、 縫い合わされていろ! 心を寄せるべきものに 波が来る前に舵をとれ 舵をとらねばならない、 舵をとらねばならない、舵を、とらねばならない 舵を 舵が とれない、とられない、わたしたちが にぎっている時間がこぼれていく、 砂のように、指の隙間から、 どくどくと わたしたちは 頭の中でばかり詩を書くことはできない 降ろされてきた荷がすべて、言葉ひとつひとつにのしかかっている 知ってしまえばなかったことには できない なかったことなどない、 全部、あった、のだしありつづけている、 ありつづけている、これからも、そうしてまた舵を、 舵を、舵を! とらねばならない。 少し足りないくらいの引きようが わたしたちを保っている、 安堵していては物語は はじまらない 宇宙から はるばるなにかが届く 光線か 願いか サスティンか 雲の分子が肺をふくらせしばし、停滞する、 うちがわで、渦を巻いている。 届かなくなったものこそ、棚の上で 在りようを放っている かざる痛みが、 わたしたちを保っている。 著者 國松絵梨 発行所 七月堂 発行日 2021年8月10日 四六判 95ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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Lolita / インカレポエトリ叢書10【新本】
¥990
二見遼詩集 存在という欠落を、愛することなどできませんでした 【作品紹介】 コペルニクス おまえとわたしの孤独がけっして重ならないから ぼくはあなたと手を取って回転し えいえんを願うことができるのだと思う あるいはきみの存在が否定されて こくいっこく 砂塵に還る そうしてわたしはあなたを祈る 睫毛の生え際をつつむまどろみを見つめ ほそい葉のこすれる音を聞いた とおくから近づいてくるものの正体をぼくは知っているけれど それをきみにはなすことはないだろう なすすべもない渇きに背を向けて 必要があるならばゆったりとしたきみの髪を抱えて逃げ出そう 痛みはかすかにまたたく いつの日か近づくことができたなら それはなんとおそろしくあたたかな夜明けであるか 抱きあい燃え落ちる一瞬の閃光 つかれはて爛熟した旅の終わりと 解き放たれた生命の胞子 ゆきたいところなど、ほかにはもう/ ぼくはただ沈黙していようと思う 六畳一間のちいさい宇宙でおこるひめごとを すべてゆるして、塗り固めたガラスのうちに じっと眺めていようと思う 透明は罰のいろ ゆらめく美徳とエゴイズムの罪のいろ ゆるすことは、刻み込むことだ 見紛うほどに処刑者は燦然と 頭上に浮かぶ冒瀆的なほほえみを照らしている つみびとこぞりて 彼らの音楽が流刑地へと続く 目をふさぎ、耳を劈く 最後の明滅の、尽きる音を聞く 著者 二見遼 発行所 七月堂 発行日 2021年5月31日 四六判 93ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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洞 / インカレポエトリ叢書9【新本】
¥990
牛山茉優詩集 「滞ることは止まることではなく 流れることが進むことではない」 【作品紹介】 濡れた石 例えば、濡れた石がそこにあり 日々は流れていくとする 石には小さな血が流れているが 行き交う人には届かない 声は出ず 動けもせず 目を瞑る 例えば、濡れたお前がここにあり 日々が進んでいくとする お前には人並みに血が流れているが 目の前の誰もが気づかない 声も出さず 動きもせず 夢も見ず 例えば、濡れた私がそこにいて 日々を反復するとする 私には大きな血が流れているが そこにいるだけ、気づかない たまに腕を持ち上げてみると ひとりがちらっと振り返る 私は物足りず 大声をはるが 誰にもそれは届かない 濡れた私は知らぬ間に ある日石になっていた それには小さな血が流れているが 行き交う人には届かない 声は出ず 動けもせぬが 夢は見る 著者 牛山茉優 発行所 七月堂 発行日 2021年4月30日 四六判 93ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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聖者の行進 / インカレポエトリ叢書8【新本】
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長尾早苗詩集 「わたしもかつてはくらげだった」 【作品紹介】 プレゼント 遺言状って究極の自己満足だよね と友人が言っていた その場で何も言えなかったわたしは 夢で 三十年後のわたしに聞いてみた ねえ 伝えられないもがきを伝えるって自己満足なの 三十年後のわたしは そうねえ、わたし本当に死んでないから分からないわ と柔らかく微笑んで たぶん彼女は と続ける 一度死んでないわね 朝目覚めて 庭の花に水をやる 疲れはてたわたしはよく ああ花になりたい などと甘えたことを思ってしまう 水と太陽と二酸化炭素だけで生きられるなんて! 嘘をつかないで枯れてゆくなんて! 生きるって、パワーだ ものすごく しんどくなるときもある お腹が空くと無性に悲しくなるし 放っておいて! と かまって! の気持ちがごちゃごちゃして かさばる 感情なんて難しいもの 持って生まれてきたわたしたちってみな苦しい 昔 植物人間の本を読んだことがある かわいそう と思ったり、した はずなのに 疲れはてたら植物になりたいなんて わたしはとても 生きることに甘えている そうねえ、あなたってとても と三十年後のわたしは笑う むやみやたらと地面に繋がっているような気がするわ そうなのかしら そうよ、花って一生そうなのよ かわいそう、つらそう だから、花は美しくなるしかなかったのかもね 花を愛するひとに悪いひとはいない と母が教えてくれたことがある 花に添えられた ありがとう のメッセージカードを盗み読みしてしまうたび 仕事中なのにほろりとしてしまう ひとは つらくてもごはんを食べて 眠って 生きなくちゃいけないから ひとにことばや花を贈る それはとても美しい行為で 花が人生になかったら と考えると ちょっとぞっとする 明日も朝目覚めたら 去年母に贈った花に水をやろう 生きるってそんなに嫌いじゃないと 思えるかもしれない 著者 長尾早苗 発行所 七月堂 発行日 2021年3月30日 四六判 91ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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アイスバーン / インカレポエトリ叢書7【新本】
¥990
久納美輝詩集 「踏み固めるのではなく、噛み砕くのだよ」 姿勢 なんとなく 生きていける予感がしていたが 姿勢がいい人はそれを 肯定することをしなかった それは目の前の人のためなのか 目の前の人が自信を なくしていくための行為なのか わからなくて 目の前の人は表と裏を くるくるのぞきこんだりしていた それは学ぶものではなく、悟っていくものなのだ 目の前の人は 姿勢のいい人の口から漏れている はっきりしている 紫色の息が いやだ なんとなくいやだ 目の前の人は姿勢のいい人が 背負っている大切なものを ゆずりうけようとしている すこしずつ増えてゆくものを なにも言えない目の前の人は 重い、かたいと折れる たまひろい ボールを打つことだけをかんがえて 打席に立てるのはいったいなんにんなんだろう レフトで大声をだしているときふいにおもった チームメイトがわらい、相手ベンチもわらう 試合がおわるといつも通り練習がはじまり わたしは女子硬式テニス部のコートにとびこんだ ボールの謝罪にいくのだ 赤面して頭をさげる 女たちのうんざりとしたため息がきこえる 声をあげることがにがてなわたしは だまってボールを取りにいく いやな目線にかこまれる じっさいにとりかこまれて くらったこともある わたしが守備についたのはその試合が最後であった わたしはあやまりかただけを野球でおぼえた 著者 久納美輝 発行所 七月堂 発行日 2021年2月28日 四六判 92ページ 【関連】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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個室 / インカレポエトリ叢書6【新本】
¥990
赤司琴梨詩集 「わたしを赤面させる失語症は わたしのからだを拡張する わたしを繭から摘出する、行為」 【作品紹介】 芽吹く 腹にちっちゃいぶつぶつがたくさんできていてさけんだ あなたはわざわざ脱衣所まで走ってきたが ちっちゃいぶつぶつができていたに過ぎない わたしはあまえた声で ぶつぶつができたの と腹を見せつけてやった 変なものを食べたのかね 脱衣所にひざまずいたあなたは 雪が降ったあとのようについた脂肪に繰り返し くちびるを埋めた その日見た夢は わたしの腹にはぶつぶつではなく 胎児がいたのでまたさけんだ なんかできたの と腹を見せつけると あなたは声が聞こえると言って 腹に耳をあてた あなたはぶつぶつができても きっと何も言うことはなく わたしばかりが大ごとにしている 身体に起きるさまざまな変化たちを わたしは愛することができず 病気の樹木が持つ幾数の瘤と似た感情で シリアルですませた朝のやわらかな、 毛布にくるまり足先をすりあわせる、 腹にできたぶつぶつをかぞえながら、 けだるい朝が、昼が、夜が、 剝製になって白木の箱におさめられるとき わたしの腹から芽吹いたのは 庭 庭が少し沈んだような 気がして お隣の旦那さんに相談したら 土が悪いようだね と言うので コンクリートで固めることにした 草木を全部ひっこぬくのは かわいそうだけど 家が沈んだら困るので お隣の旦那さんとひっこぬいた 種を撒き散らすばかりの タンポポの群生が うっとうしくて それからは一人で ホームセンターで買った セメントと砂利と水を 練って 流し込んで ならして 練って 流し込んで ならして 平らな庭が広がっていくのを 夢心地で見ていた 平らな庭には 塀 のほか なにもない なにもない と思っていたら 最後の一角を埋めるとき 二匹のヤモリが慌てて土から 這い出して行った その夜は大雨だった 排水孔をつけるのを 忘れたために 庭には 水が流れるあてもなく 充満した 布団に横たわって 庭を見ながら また起き上がろうか このまま 寝てしまおうか 考えるうちに あとからあとから 水が 少しずつ隙間から 地面に 染み込んでいく このままだと コンクリートの下では 地盤沈下がすすむ一方で 床もなんだか さっきから 傾いている 気がする 家は 確実に 崩れていく なのに ほっといたままわたし なきわめきもしない 著者 赤司琴梨 発行所 七月堂 発行日 2021年1月30日 四六判 93ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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稼働する人形 / インカレポエトリ叢書5【新本】
¥990
長谷川美緒詩集 「人間ではなくなるときが近づいてくるのを、じっと待っている。」 【作品紹介】 霧雨ほど注意しなければならない、と むかし母親がおおまじめな顔で 言っていたのだった 濡れていないと思っていても 水は肌からしみこんで からだの奥へ浸透する 気づかないうちにしめりけが ぐずぐずと巣食うのだから 傘を差すことを怠ってはいけない と 雨のもたらすやまいを 彼女はおそれていた それがどんなやまいであるのか わたしには見当もつかなかった あの頃は 手を伸ばせば届くところに 傘がたくさん置いてあった 乾いた後できっちり畳まれ 玄関に立てかけられて 霧雨をわたしは好きだった 触れてはいけない理由など分からない 雨を避けて暮らすことに 反発をつよめてからは 小雨にも大降りの雨にも すすんで肉体を差し出した 世界に濡れてまじわるとき わたしはすべてに君臨する とにかく誇らしいのである 濡れたものも乾かないうちに ふたたび外へ跳び出して 家には寄りつかなかった からだに張りつく水気は 苔の生えた万年床のように 全身をやわらかく包みこみ やがて湿った布団の中から 極彩色の夢の胞子が漂い始める わたしは胞子を胸に抱いて 大切に大切に育てた あざやかな色が肌の上に ゆっくりと延び広がって すきまを埋める その頃しみこんだ雨粒が 深い場所に溜まっていて 時おりひょっとしゃっくりする つめたく残るやまいのたねが 肉を 神経を 骨をおかして わたしをみじめな骸にする はやく屋根のあるところに入り 台所の火を熾さなくては そう思って一散に走る わたしだけの部屋にたどり着き 扉を閉めて鍵をかける 夢の名残を乾かすために (本書より「万年水」) 著者 長谷川美緒 発行所 七月堂 発行日 2020年12月10日 四六判 91ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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飛石の上 / インカレポエトリ叢書4【新本】
¥990
大島静流詩集 中原中也賞最終候補 「水もまた言語であった」 【作品紹介】 とっくの昔に発送された報せが 突然わたしのもとに届く日があって きまってわたしは手を使っている 今日のは不慣れな仕事 勢いあまって クロスをはみ出したクリームが 冷たい 後悔を載せきれない ちいさな手のまま わたしは大きくなってしまった (本書「報せ」より抜粋) 著者 大島静流 発行所 七月堂 発行日 2020年10月10日 四六判 91ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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普遍の一途 / インカレポエトリ叢書3【新本】
¥990
内堀みさき詩集 神様は僕にこの坂を与えました 【作品紹介】 アトランティスめがけて 追い越し車線 斜めに抜け駆け くぐり抜けるジャングル 繰り返される既視感覚 眩しさの対価は睡眠不足に拍車をかける 泥で汚れたジーンズと黄ばんだ地図を 自慢するように 案内標識に異世界を確認して 皮肉のため息をついた 新聞のおくやみに私の名前はなくて 代わりに桜の満開の便りを受け取る その足で渡った吊り橋 枝毛までも輝かせて 雨上がりの匂いを嗜む 群青の湖の底に私を確認して 浮き上がる泡に天命を待つ 著者 内堀みさき 発行所 七月堂 発行日 2020年9月1日 四六判 91ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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節節 / インカレポエトリ叢書2【新本】
¥990
川上雨季詩集 「いまにも光を呑まんとする、だれかの水平線」 【作品紹介】 都市のスケッチ くぐもった灰色に染まったふわふわの犬 昨日と同じ角で抱えられている わずかな期待を抱えて前を通るが 彼/彼女の瞳は他者を決して認めない 光のささない深い黒さをたたえて 上半身が前に倒れないように ガラスに写る 足を動かす 回転運動を伴う我々の移動は 動力を他に依存せずとも運転と呼ぶ 身体の自覚はごく限られている 両眉の裏から生え際にかけては 長方形の水面に守られていて わたしの意識は揺蕩する たしかに接地しているはずであるのに プレートの小さな揺れを認識できない どころか まれに水面が傾くと 身体自体の一部もあわせて傾く 大きな段差を伴って 眠りから醒めた深夜の渇き 二杯目の味噌汁の器が傾いて 左手の甲に熱湯が注がれた 細く揺らぐ痛みは炎のゆらめきを肌に植えたようで 白く生気のない石の上に散った海藻と味噌の 非日常らしいあざやかさを前に わたしだけが当事者だという自覚を提示した 電話をする男から離れ 床の上に自覚的に寝そべる皮の鞄 意思を持たされた物体に目を奪われながら 改札をくぐり抜ける 著者 川上雨季 発行所 七月堂 発行日 2020年7月1日 四六判 92ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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水際 / インカレポエトリ叢書1【新本】
¥990
小島日和詩集 第26回中原中也賞受賞 「薬指をおかえしに上がりました、女は下げていた巾着袋を差し出した。」 【作品紹介】 エスカレーター 底のない穴のなかを エスカレーターが動いている 上っているのか 下りているのか とにかく、逆向きに乗ってしまい 遠い国のデパートのように 段差がなく平らになっているので ベルトコンベアで運ばれているようでもあり ほうれん草の束が滑り下りてきて そちらが上かと知るのだが 反対側からも転がってくる鶏肉を 腕に抱えこもうとするなら降りねばならない どこかからやってきた子どもが 扉の前に座りこみ 一本ずつ指をしゃぶっている かれは得意になって 私よりずっと とおくへはなす ポケットから取り出した 抜け殻も 壊れて落ちていくままにはしない 手の平に残ったかけらまで すっかり なめ終えてしまい よくまわる舌から ほつれた糸が引きだされていく しわが寄り ひだが生まれ とおくは ちかくへ絞られていく 踊り場から坪庭を見下ろす 排出される空気に巻かれながら洗濯物が落下していく 忘れ物をたしかめているとき、 わたしの背後では断層が広がっている いつまでも搬出口が見つからない 喉の奥にはりついて離れない 灰汁をかき消すように いきおいよく注いだ牛乳で飲みくだす 著者 小島日和 発行所 七月堂 発行日 2020年7月1日 四六判 89ページ 【関連本】 インカレポエトリ / インカレポエトリ叢書:https://shichigatsud.buyshop.jp/categories/2851576 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955