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光の小箱【新本】
¥1,650
【内容紹介】 神泉薫エッセイ集 母となって見つめた子どもの記憶、自らの子ども時代の記憶、タンポポやシロツメクサの花冠を編むように、ひとつひとつの温かな記憶を紡いで一冊とした。(「あとがき」より抜粋) 「空の下で」より抜粋 〔……〕 娘が二歳を少し過ぎたころ、自転車の補助席に乗せて、道を走っていた時だ。娘はいきなり、小さな人差し指を高々と上げて、空を指差し、「そら!」、「そら!」と叫んだ。それはそれはとてもうれしそうに。 どうやって、子は、目の前にある「コップ」を「コップ」と、自分が座っている「椅子」を「椅子」と、外に出て、見上げる広い青いものを、「空」と認識するのだろうか。人間の成長の内側で、「ことば」と「事物」がしっかりと認識されるプロセスは、とても不思議だ。 思わず、その声に導かれて、私は「空」を見上げた。「ああ、空だ」。何の混じりけもないまっさらな素直な気持ちでそう思った。そして、うれしさがこみ上げてきた。ことばにして確かに事物が存在する、という安心感、今、娘と二人、「空」を見ていることの、何とも言えない幸福感に胸がすっと温かくなった。あたりまえに存在すると思っていることは、本当はあたりまえではなく、小さな奇跡の積み重ねなのだ。忙しない日常に追われて、少し疲れていた私の目に入り込んできた、澄んだ青空の清々しさは、今も忘れられない。 〔……〕 著者 神泉薫 発行所 七月堂 発行日 2023年6月15日 130mm×175mm 78ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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続・爆音と泥濘 詩と文にのこす戦災と敗戦【新本】
¥1,760
詩と文に残す戦災と敗戦 幼少年時に体験し見聞した戦時の日々。空襲と被災、疎開、敗戦、食糧難など戦中戦後生活の実態は歴史書はいうに及ばず年表や年鑑からはけっして読みとれまい。それをいまのうちに「詩」と「文章」に書き遺した。世代を越えた同胞への留別としたい。 橋 中空からながめていると 老爺になり果てたわたしが 右手から橋の半ばまで足を引きずってきて 欄干にもたれかかり 反った板塔婆(いたとうば)になった 水面になにを見ようとしているのだろう やわらかな手に導かれてあの未明 この橋を生きる側に逃げ渡ったのだった 土手のひがん花ほどに鮮やかな光景 グラマン・ヘルキャットの操縦士は余裕綽々 低空での曲芸をたのしんでいたらしい もも色の顔 高い鼻をみた マフラーをしていた そんな話ができたのは十年も後のこと 夜明け 目隠しされた指のすきまから見たものは かわり果てたわか町わが姿 にんげんの所業がまとめて燃えつきるにおいは じぶんの皮膚の綻(ほころ)びからも燻(いぶ)り出ていた 禍々しい舞台にたたずみ わたしの手を引くいとおしいたましい おかげでわたしはじゅうぶんに生きおおせた ひとに聞いてもらいたいことも もう尽きた 川砂を這う線香のけむり ながめていると 板塔婆がさらに反る 欄干を跳ね出るいきおいで 伊賀上野への旅 (前略)目の前にいるこの家の老主人はかつて父の戦友だったと聞いている。しわを刻んだ日焼けした顔のなかの二つのくぼみから柔らかな細い目が私に注がれている。見かけは亡父よりもいくらか年配に見える。私と同年くらいのその家の息子さんが奥から出てきた。伊賀上野は初めてですか、と問われたのをきっかけに、終戦の翌年に初めて伊賀上野を訪れたときのことを私はしぜんに思い返すことになった。 復員時に父が背嚢(はいのう)に入れて持ってきた書きもののなかに戦時名簿があり、所属部隊の移動の記録がごく簡素に記してあった。これによると父は敗戦後の拘留期間を経て昭和二十一年(一九四六)四月十六日に河南省の許昌を発ち、上海から出航して五月四日に紀伊の田辺に入港し、同日召集解除になっている。応召を見送られた町や自分の生家はもちちん空襲で焼けて跡形もなかったが、焼け跡でたまたま出遇った顔見知りの人に家族の疎開先をおしえられて、ようやく一家が合流したのだった。祖母、つまり父の母親が同年正月に病死していたものの、戦災のために一家で欠けた者はなく、父の復員もむしろ順調なほうであった。 その後の生活のことや祖母の納骨など早々にやらねばならないことがいろいろとあっただろうが、復員してきた父がまずしたことは、伊賀上野へ行くことだった。父にはその地の出身で最後まで行動をともにした戦友がいて、この人は復員を前に病気療養が必要になり、帰国が遅れることになった。遅れているのはこの人の身に特別のことが生じたわけではないので、体調が回復し次第まちがいなく帰国する、とただそのことを留守家族にじかに伝えるのがこの日帰りの旅の目的だった。そんなことを後になって私は聞かされた。もっとも家族連れ立っての旅だったので、幾年ぶりかの慰安も兼ねていたのだろう。その人は、父の話したとおり数か月遅れて無事帰国したという。 伊賀上野は戦火を免れた。戦災に遭っていない町並みを見るのは気持ちがよかった。当時の木造の伊賀上野駅はそれでもその周辺では最も大きな建物だった。駅の構内には雑草が線路を覆うように生えていた。私たち家族は改札を出るとすぐに駅前の外食券食堂に入ったが、なぜか断られて食事にありつけなかったのを記憶している。そして、そのまま上野城へ向かった。父は私たち家族を城へ案内しておいて、すぐさまとって返し、戦友の留守宅へ行ったようである。 すでに夏に入っていた。城に近づくにつれて急に風がさらさらと鳴りはじめ、なぜかほっとした気分になった。母は庭石をみつけて終始そこに腰掛けたままでいた。私と弟も遠くへ行かずに母の目の届くあたりで遊んいたようである。そこはそり返った天守閣の石垣の真下だった。短い時間に思われたが、そのうちに歩幅いっぱいの歩きっぷりで父は戻ってきた。大きな茶色の編上靴が私の間近にあった。私たちはそれからまっすぐに駅へ戻り、そのまま帰りの汽車に乗った。私の最初の伊賀上野への旅はこれがすべてである。(後略) 既刊「爆音と泥濘」 著者 南川隆雄 発行所 七月堂 発行日 2020年1月20日 四六判 並製 カバー付き 151ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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なんだか眠いのです【新本】
¥2,200
眠りを誘う読書の旅へーー 家の庭に鹿がくるらしい。 そんな人が描いた詩とエッセイです。 ズレてもいいよ、無理しなくていいよ、そのままでいいよ、 と西尾さんはそそのかしてくれる。 ──帯文 とほん店主 砂川昌広 絶版となっている詩集『光ったり眠ったりしているものたち』をはじめ、私家版やフリーペーパーなどに掲載された作品、そして書き下ろしの随筆や俳句などをたっぷり収録しました。 組版と装幀は川島雄太郎さんにご担当いただき、草原に寝転んで見上げた空と雲、まぶたにうつる太陽の光をイメージしました。 判型や製本は詩集『歩きながらはじまること』と同じです。 付録にカード型の栞付いてきます。 【収録作】 『光ったり眠ったりしているものたち』(BOOKLORE) 「古い東洋人」(私家版) 「亀之助気質」をお持ちの方へ(フリーペーパー「粥彦」連載) 「ならならのひと」(私家版) 「なんだか眠いのです」(書下ろし) 「粥彦の句」(ほぼ書下ろし) 「平穏と無事」(ループ舎) 著者 西尾勝彦 帯文 砂川昌広(とほん店主) 付録 栞 組版・装幀 川島雄太郎 発行所 七月堂 発行日 2022年5月23日 四六判 344ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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馬券と人生【新本】
¥1,320
疲れた競馬ファンには癒しの一服。初心者には更なる興味への第一歩を。 赤城斗二男の2冊目の本である。1冊目は馬券攻略本『競馬ジャンキーの極意』。 今回は49年間中央競馬の全レースを買い続ける著者の人生にまつわるあれこれがあふれ出したのだ。 前著でも話題になったエッセイを中心に毎週リアルタイムの入稿で一年間を繰り広げる。 【試し読み】 https://note.com/shichigatsudo/m/m9312d10e1f63 著者 赤城斗二男 発行所 七月堂 発行日 2019年9月18日 四六判 251ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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星とともに走る【新本】
¥2,860
星の運行をながめよ・・・「ガロ」に書きつづられた日録集。 「ガロ」の愛読者であった四方田犬彦氏が八七年から九七年、「ガロ」の消滅まで続いた連載を主に、NY、韓国滞在記を加えた日録集。七月堂のベストセラーです。 著者 四方田犬彦 発行所 七月堂 発行日 1999年2月 A5判 ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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島に生きる 季語と暮らす【新本】
¥1,650
園田靖彦俳文集 この一文は、敗戦から二年目、四歳の少年である私が、両親のふるさとである壱岐の島に引き上げて来て、高校を卒業するまでの十四年間、見て、聞いて、体験した暮らしの様を記したものです。更にいえば、日本の辺境、玄界灘の一孤島、壱岐の島の、敗戦から経済成長期の前夜までを、少年の眼でみた点描といえるかもしれません。 (「あとがき」より抜粋) 著者 園田靖彦 発行所 七月堂 発行日 2021年4月20日 A5判 105ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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爆音と泥濘 詩と文にのこす戦災と敗戦【新本】
¥1,760
世代を超えた同胞への留別としたい 、と南川隆雄は呟く。 南川隆雄の幼年時代、戦中戦後の体験が記されている。 空襲と被災、疎開、敗戦、食糧難など戦中戦後の生活の実態を54篇の「詩」と15篇「文章」で書き遺す、と著者は言う。 もう過去の事はたくさんだ、という人も多い。 しかし、歴史の真実は言葉によって語らずして、未来の誰に伝えられるのだろうか。 著者 南川隆雄 発行所 七月堂 発行日 2019年10月31日 四六判 149ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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インド回想記【新本】
¥2,200
オディッシーダンスが創る宇宙を体験する English version is also available! オディッシーダンサー高見麻子は2007年11月3日にこの世を去った。 この本は高見麻子の手紙、エッセー、絵、写真など、教え子でもある田中晴子による編集で仕上がった。 オディッシーダンスはインドの古典舞踊である。 歴史の中で衰退することも有り、少年の女装で踊られることもあった。 タゴールダンスに惹かれ、クムクムラール氏に出会いオディッシーダンスに魅せられた高見麻子は、日本からインドへ、そしてインドからアメリカへ。 クムクムさん、康米那(かんみな)さん、サンジュクタさん、ラルフレモンさん達と出会う。 出会うべくして出会った人々との交流がさらに日々を深めてゆく。 本書より 「麻子とコンテンポラリーダンス」 文 ラルフ レモン 麻子がオディッシーを踊っている姿を見ると、僕はいつも泣いてしまった。 ふたりで踊りを創ったとき、彼女はたいへんオープンだった。とにかくなんでもやってみようとしていた。そして、それは時間のかかることでもあった。(チベット仏教の)多羅菩薩のような静かなる激しさでもって動いているときでさえも、彼女の動きには崇高とも言える本質的な静けさがあった。 初めていっしょに創る作業を始めたとき、どの曲だったのか覚えていないが、彼女がオディッシーを踊る、その側で僕は即興的に踊ってみた。彼女は僕のことを気に留めていないようだった。僕の存在は彼女の邪魔ではなかったし、僕は創造的に邪魔にならないようにしようとしていた。麻子は自分の領域に立って(踊って)いた。彼女の踊りのスピリットは、豊かな空間を周囲に持っていた。なんとなんと優しい空間だろう。 2回目には、僕は彼女に即興的に踊ってみてはどうだろうと頼んだ。僕のモダンダンスのグループといっしょに。ダンサーたちの中で、彼女は凍りついたように立ちすくんでいた。じっと静止したままで、周りで起きていること全部を見ていた。僕たちは彼女のまわりで踊った。彼女の知らない、見たこともない踊りの言語で。ほとんど20分ほどになるか、彼女はじっと止まったままだった。目を大きく見開き、あらゆる情報をできるかぎり取り入れていた。取り入れたものを噛み砕くために、その時間を使っていたのだ。スタジオでのあの日以来、彼女はあらゆることを試してみた。毎日、ふたりの作業は進み育っていった。そしてそれは「Tree」(2000年)という劇場で発表する、一公演分の長さの作品に発展していった。彼女の恐れを知らない(そしてしなやかな)包容力のある体は、異国情緒あふれ、確固たる、そして根源的に必要とされるなにかを付け加えながら、動いた。僕のモダンダンス実験にとっては非常に特別な感じで。 麻子はまた、すばらしい表現者だった。彼女のパフォーマンス―その時間、そのエネルギー、その空間。僕がいっしょに創造したダンサーの中には、彼女のようなパフォーマンスができるものはほとんどいない。麻子はダンスの天才だと思う。 (ラルフ レモン:振り付け師、モダンダンサー、コンセプテュアリズム アーティスト。2015年、前米国大統領オバマ氏からNational Medal of Artsを受賞。ラルフと麻子は、コンテンポラリーダンス作品「Tree」を2000年に発表した。) Asako and contemporary dance Ralph Lemon I cried every time I saw her dance Odissi. Asako was exceptionally open in our work together. Would try anything. But would take her time. Her time was evanescent. She had a sublime constitutional stillness, even when moving with all her Tara-like quiet fierceness. When we first began working together I danced, improvised along side an Odissi dance she shared (I can’t remember which one). She didn’t seem bothered; I was not a distraction, which is what I was creatively attempting. She stood (danced) her ground. Her dancing sprit had such a generous space around it. The second time we worked together I asked her to improvise, with my group of modern dancers. She stood frozen within the group. Stock-still, watching all that was going on. We danced around her in a movement language she didn’t know, had never seen, for a good twenty minutes and she never moved. She was using that time, eyes wide open, to take in the information, as best she could, her translation. After that day in the studio she tried everything, everyday as our work together grew and became an evening length theater-dance work titled, Tree (2000). Her fearless (and gentle) capacious body moved in a way that was quite special for my modern dance experiments, adding something foreign and emphatic and ultimately necessary. Asako was also a remarkable performer. Could hold a performance, time, energy and space like few dancers I’ve ever worked with. I think Asako was a dance genius. (Ralph Lemon is a choreographer, modern dancer, and conceptualism artist. He received the National Medal of Arts from the former President of the United States of America Mr. Obama in 2015. He and Asako together created a contemporary dance presentation Tree in 2000.) 著者 高見麻子 編者 田中晴子 発行所 七月堂 発行日 2019年4月19日 A5判変形 198ページ ________________________________________ ※送料の変更をさせていただく場合がございます。詳しくは以下のURLよりご覧ください。 https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955