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源流のある町【新本】

¥1,870 税込

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これは夕凪 あれは反射光


草間小鳥子 堂々の第二詩集。
「町」をテーマとした18篇を収録。



「おもかげの育て方を間違えていますよ」
執着しているからです
つづら折りになった地獄が
両目に釘を刺しにくる






「適切な距離を保って」

段取りを踏めばすんなりと
形式的な不在となる
問われた罪
問われなかった罪
これで手打ちだ、と本を閉じ
つじつま合わせの長い夜を越えた
去ってゆくものへの
ひろびろとしたやさしさ
やさしさに似た諦めが
ぎりぎりの肺を満たしている
結論は出せない
出せるものでもない

仮住まいのつもりで
浮ついた季節をかぞえながら
遠い波形に目を細め
(ずいぶんと高い空だ)
いま ほんとうに崩れてゆく瞬間の
最後の透過へ浸水する
白い手袋で敬礼するドアマン
陽気な口笛と避難誘導
(また 電話します)
むき出しの鉄骨にきらめく埃
その隙間からさす光 まっさらな

雨上がりの引力にしたがい
大きく弓を引いたまま
わかりやすいものを疑いながら生きた
(すべてを愛せなくたって)
いま 明けかけた空へ旗が振り下ろされ
ひとりきり滑空の合図だ
はじまりの時そうであったように
なにもないところから
ただ なにもないところへ

荒れる湖を飲みこんで
まっさおな胸
忘却曲線のかなたに白い帆のはためき
たったひとりできみは
軽やかな骨になれ






【著者プロフィール】
草間 小鳥子(くさま・ことりこ)
第14 回北日本児童文学賞最優秀賞。
第27 回詩と思想新人賞受賞。(2018)
2019 年、資生堂の季刊誌『花椿』の付録として、小詩集『ビオトープ』を発表。
詩集『あの日、水の森で』(2020、土曜美術社出版販売)第71 回H 氏賞候補



著者 草間小鳥子
発行所 七月堂
発行日 2022年10月8日
四六判 並製 130ページ


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