掌の詩集【新本】
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定型詩で心を余すところなく表現する
「この詩集では、専ら七五調四行または五七調四行の定型に拠って詩を書いています。計四十八文字のこの形式を、私は前の詩集で「七五小曲」と名付けました。『掌の詩集』は、その『七五小曲集』(二〇一一年)の続編です。」(「七五小曲について」より)
著者が「自分の心に最もかなった形」と語る七五小曲で描かれるのは著者の人生全て。縦横無尽な表現は「定型」は「制約」ではないという事を雄弁に語り、その魅力を教えてくれる。人生郷愁編、春夏秋冬編、列島地誌編、生老病死編、学問文藝編の五編。平安時代から近世にいたるまでの著者の考察をまとめた「七五小曲について」を収録。
少年に
一人前になるために
越えねばならない恥の道
僕は秘かに知っている
その峠路の地形図を
林間逍遥
病得て林を歩く
かさこそと落葉ささやく
遥かなり青雲の日々
今こそは人生の秋
朝の出勤
体は先に抜け出たが
心は蒲団の中にある
職場へ赴くバス電車
身柄は定時に運ばれる
自ら嘲る
この家の主人は詩を愛す
雪月花に遊ぶなり
しかし給与が薄いので
梅干し齧って瘦我慢
著者 西原大輔
発行所 七月堂
発行日 20年8月6日
95×135 上製 箱付き 245ページ
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