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知らない気配、幽かなあわい / 橘麻巳子【新本】

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【出版社内容紹介】
未知の気配に触れる言葉のふるえ。
吸い殻の消えない煙、薄紅の雲、埃を被った鋏、まだ彫られていない皮膚の刺青──。
世界のあわいをたどる22篇。第三詩集。
装幀=鈴木規子

ゆっくりと日輪滑り
その切れ端は水底にも溶け出している
にんげんたちは知らずに鎮まっている
吸い殻の、消えない煙高くなり
つぼみにも茎にもたかる幼虫の
噴水のよう。

両手で押しいただくように
しばらくの霧雨が、うれしい
上がったのを知ったのは
落ち葉に見えていた虫が
その翅をゆっくり開き
中の水色を見せたため。
最後の雨粒がその上を転げ
無言で熟れきった昼は
とっくに弾けて
手のひらはずぶ濡れになる

匂う 急な
大輪。
わたしは時間の破れるのを待っていた
一度は取れた翅を逆さに背負い
逃げもしない日差しの中で
向かっていく
(「みずいろ」)

著者プロフィール
橘 麻巳子(たちばな・まみこ)
1989年生。
詩集
『声霊』(七月堂)
『リベオートラ』(書肆子午線)



著者 橘麻巳子
発行所 書肆子午線
発行日 2026年6月30日
A5判 並製 60ページ


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https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955

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