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かつて孤独だったかは知らない【新本】
¥2,420
SOLD OUT
和田まさ子詩集
陽射しが
しずかに息をするように秒針を運ぶ
照り翳りが激しくて
吐き気を覚える
向かいの四階の上まで伸びた木が
左右に揺れるのがくっきり見えて
初夏
沈黙していたら
時間に絡め取られていた
グリーンピースを剝いて
指先を緑にしたい
これは夢の後なのか
夢見る前なのか
紺色のインクのような茹でこぼし
キッチンのシンクをぺたんといわせて
今日聞いた音が折りたたまれる
いつもいるホームレスが
LOVEと道路に書いて
座っている
二十一世紀に愛はどこにもないことを
彼女は知っていると思う
見ないふりをして通りすぎるが
薄緑のベリーのような目をした女だ
ここではないどこかですれ違っている
彼女とわたしは
ここが彼女の定位置なら
わたしの場所はどこなのか
少なくとも地上ではなく
うわの空でいるから行き場がなくて
もろい部分の釘をいじめていると
感情が決壊する
(「初夏」より)
著者 和田まさ子
発行所 思潮社
発行日2016年9月25日
A5判変形 112ページ
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https://note.com/shichigatsudo/n/n848d8f375955
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